2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis for composition of Kaposi's sarcoma associated herpesvirus-host hybrid complex and discovery for drug targets
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21K08509
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渡部 匡史 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60634326)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒトヘルペスウイルス / カポジ肉腫ヘルペスウイルス / ウイルス性転写開始前複合体 / タンパク質構造予測アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
新規近位依存性標識法を用いた宿主性vPIC相互作用因子の同定については,ビオチン化酵素タグを付加したvPIC因子が,タンパク質としての機能を維持している細胞株の樹立などが,進行の障壁となった.繰り返し試行や条件検討するとともに,代替方策の準備を進めている. ウイルス性vPIC因子の機能性領域の同定については,vPICのハブとして機能しうるORF34に着目し解析を進めてきた.既にプレプリントサーバBioRxiv上で公開しているが(Watanabe T. et al., bioRxiv., 2023 doi: 10.1101/2023.03.08.531831),再投稿に向けてクロマチン免疫沈降を中心とした追加実験に取り組んだ.すでにデータは取得しており,原稿改訂に取り組んでいる. また,ORF34分子構造解析の際に利用したAlphaFold2による予測構造モデルの構築ノウハウを転用し,3種のウイルスタンパク質から構成されているKSHVターミナーゼ複合体の構造モデル,ならびにデングウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼとHCV治療薬として知られている低分子化合物ソホスブビルとのドッキングモデルを,それぞれ構築し解析した.これらの内容に関しては,それぞれ原著論文として受理された(Iwaisako Y. et al., J. Virol., 2023; Kurosawa M. et al., Int. J. Mol. Sci. 2024).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ビオチン化酵素タグとして,Mini-TurboタグとAPEX2タグの2種類を準備した.それぞれについて,ORF34欠損ウイルス産生/ビオチン化酵素タグ付加ORF34定常発現細胞,ORF66欠損ウイルス産生/ビオチン化酵素タグ付加ORF66定常発現細胞を樹立した.これらについて標的タンパク質へのタグ付加による機能阻害が起きていないか,またタグによって十分なビオチン化が生じているか検討を続けている. ORF34の機能性領域の同定に関しては,前年度投稿した原著論文の追加実験に取り組んだ.昨年度までに計18種類のORF34点変異体を用いて,他のvPIC因子(ORF24, ORF66)との結合能,ウイルス産生量,ウイルス後期遺伝子発現量,タンパク質構造予測アルゴリズムAlphafold2によるORF34構造予測モデル中の配置を照合し,ORF34のC末端側に存在する4つの保存システイン残基はCxxCモチーフを介したイオン補足によるドメイン構造維持に重要だと推測していた.クロマチン免疫沈降により,これら4つの保存システイン残基の点変異体が,ORF34のウイルス後期遺伝子転写開始領域へのリクルートに寄与していることが示唆された.また,ORF34のN末端側領域はvPIC因子との結合には直接関与しないがその機能発現に必須な部位であることが推測されていた.この領域に含まれるORF34点変異体の多くがリクルート量の顕著な低下を示さなかったことから,複合体形成以外の制御にORF34N末端領域が関与していることも示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
ビオチン化酵素タグvPIC因子コード領域にビオチン化酵素タグ核酸配列を挿入したKSHV BACクローンの構築にも取り組んでいく.あわせて近位依存性標識法によるビオチン化タンパク質の分離・精製の実験手法も確立していく.しかし昨年度,UC. Berkleyの研究チームからタグは異なるものの同じ標識系を用いたvPIC相互作用因子に関する解析結果が公開されているため,検出系の高感度化や観測条件の差別化を図る予定である. また,他のヘルペスウイルスタンパク質に関する知見から,vPIC中でもORF34ホモログによる複合体サブセット形成について報告がある.これらと我々のvPIC因子の機能性領域に関する独自の解析結果,とくにN末領域とC末領域の複合体形成ならびに機能発現における特徴差がどのように関わっているのか,興味深い課題であると考えている.さらに構造予測モデルを解析した今までの知見から,比較的小さなサイズのウイルス性タンパク質も複合体形成に必須であることが示唆されている.これらの構造に基づいた阻害性ペプチドをデザインできるか検討したいと考えている.
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Causes of Carryover |
[次年度使用額発生理由] 前述した通り,当初予定していた新規近位依存性標識法による相互作用因子探索については適切な実験系の確立が難航している.そのため,分離精製した相互作用因子プロテオーム解析に必要なLC-MS/MS外注解析費が生じなかった.加えて,並行プロジェクトであるORF34機能性領域・残基の同定に関しての追加実験や,他の分子間相互作用モデル構築および解析に時間的リソースを要したことも影響した.よって,最終的に当初予定していた研究実施期間を延長するに至っている. [次年度使用額使用計画] 現在までに生じた余剰金は,本来使用するはずであった外部依頼解析費用(その他)や,現在投稿準備中の論文が受領された場合の投稿料(その他)に充当する.また研究遂行時の必要に応じて,研究試薬等購入費用(物品費)などに充当する.
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