2023 Fiscal Year Research-status Report
ウルトラファインバブルと超音波を用いたMRSAデバイス感染新規治療法の開発
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21K08519
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高田 徹 福岡大学, 医学部, 教授 (90268996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 耕大 福岡大学, 医学部, 講師 (40762266)
宮崎 元康 福岡大学, 薬学部, 助教 (70882603)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MRSA / バイオフィルム / ブドウ球菌 / 超音波 / 抗菌薬 / 非抗菌薬 / 遺伝子型 / 血液分離株 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、菌の産生するバイオフィルムに対する安定なウルトラファインバブル超音波照射のin vitroの最適条件の設定を検討した。条件設定には主として表皮ブドウ球菌や大腸菌を使用した。抗菌物質としてバンコマイシン等の抗菌薬以外に各種ガスを用い、一酸化炭素単独でも抗バイオフィルム効果を示すことを見出した。 MRSAに関しては2010年から2021年までの12年間にわたり、入院患者の血液から分離されたMRSA 245株を中心に遺伝子調査を行った。解析では、Staphylococcal Cassette Chromosomemec(SCCmec)タイピング、accessory gene regulator(agr)タイピング、PCR-based ORF Typing(POT)、およびMulti Locus Sequence Typing(MLST)を適用し、MRSA血液分離株の遺伝子型を検討した。結果、2015年まではSCCmec II/agrIIを有する株が流行していたが、2016年以降はSCCmec IV/agrIIIを有する株が増加した。合計128株(52%)が流行性クローンと同定され、117株(48%)が散発性クローンと分類された。散発性クローンの検出率は2016年以降有意に増加していた.流行性クローンは3つのクラスターに分類され、2016年以降はCC1のMRSAが顕著に検出された。この様にMRSA血液分離株の遺伝子型は2016年以降、SCCmec II/agrII型からSCCmec IV/agrIII型へシフトし、特にCC1のMRSAが顕著に増加していることが明らかになった。また、分離株における散発株の割合が有意に増加しており、遺伝子型の多様化が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
超音波照射の抗バイオフィルム効果に関する関する実験については、再現性の高い実験系の確立が得られず遅延している。その為、研究実施計画で当該年度に予定していた組織培養で発育させた細胞内への菌の持続感染下でのバイオフィルム産生菌に対する超音波や抗菌物質の送達効果の検討については依然として行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroで抗バイオフィルム効果が得られる抗菌薬±一酸化炭素などのガスの組み合わせや安定した条件設定の確立を行い、その効果を形態学的および定量測定法から多面的に評価する。
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Causes of Carryover |
超音波照射の抗バイオフィルム効果に関し、再現性の高い実験系の確立が得らず以降の実験が遅延している。本年度は再現性の高い実験系の確立を行い、その効果を形態学的および定量測定法から多面的に評価する。それらの成果を前年度に解析したMRSA分離株の解析結果と共に、論文発表を行う方針であり、使用額はこれらの実験関連費、論文関連費に充てる予定である。
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