2022 Fiscal Year Research-status Report
宿主防御因子GBP発現マクロファージの細胞内寄生菌増殖抑制効果に関する検討
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21K08520
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宇田 晶彦 国立感染症研究所, 獣医科学部第3室, 室長 (80392322)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Francisella / 野兎病菌 / 感染制御 / GBP / 骨髄由来マクロファージ / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、野兎病菌を接種したマウスおよびマクロファージ様J774.1細胞株の遺伝子発現比較解析の結果から、感染宿主のGuanylate Binding Protein(GBP)が野兎病菌の細胞内増殖抑制に関わっている可能性が示唆されていた。そこで、野生型マウスやGBPノックアウトマウス(GBPchr3 KO)を用いて、GBPの野兎病菌増殖抑制効果について検討することを目的とし以下の実験を実施した。 野生型マウスおよびGBPchr3 KOマウスの骨髄由来マクロファージ(BMDM)を調整し、野兎病菌強毒株 SCHU P9株をMOI=10で接種した2時間後および26時間後の細胞内生菌数を測定した。この結果、GBPchr3 KOのBMDMにおいて有意に高い野兎病菌SCHU P9株の増殖が認められた。また、LPSおよびIFNγでBMDMを予め処理した場合、SCHU P9株の増殖性は更に大きな差が生じた。また、野生型マウスおよびGBPchr3 KOマウスに10^5 CFUの野兎病菌強毒株を接種した場合、1週間以内に全ての個体が死亡した。しかし、10^5 CFUまたは10^6 CFUの野兎病菌弱毒株(SCHU P5または⊿pdpC)を接種すると、GBPchr3 KOマウスは重篤な臨床症状を示した。 これらの結果から、GBPは野兎病菌の感染制御に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型マウスおよびGBPchr3 KOマウスを用いた検証により、GBPは野兎病菌の感染制御に関与している可能性が明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的はGBPが野兎病菌の感染制御に関わっていることを目的としている。 本年度は野生型マウスおよびGBPchr3 KOマウスを用いた野兎病菌の感染実験の結果から、GBPが野兎病菌の感染制御に関与している可能性が明らかにした。 今後、マウス体内の生菌の分布や生菌数の推移とGBP発現細胞の動態について病理学的、免疫学的、及び分子生物学的手法を用いて解析を実施する。
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Causes of Carryover |
当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和4年度分についてはほぼ使用済みである。
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