2021 Fiscal Year Research-status Report
膵島、腺房細胞クロストークを利用した2型糖尿病β細胞容積改善の試み
Project/Area Number |
21K08521
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
水上 浩哉 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00374819)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Carbonic anhydrase IX / 膵島 / β細胞 / 2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病(T2D)の発症機序の一つに膵島細胞機能不全がある。その原因に膵島β細胞容積の低下がある。T2Dにおける膵島病理学的変化に低酸素の関与が想定されている。ところが、ヒトのT2D膵島が実際低酸素になっているのかは未だ不明である。そこで、組織学的に検討したところ、低酸素関連分子であるCarbonic anhydrase-IX(CA-IX)がヒトT2D症例の一部および肥満型T2Dモデルdb/dbマウス膵島周囲腺房細胞にのみ発現が亢進していた。このことは、肥満型T2Dにおいて、腺房細胞にCA-IXの発現が亢進していることを予想させた。特に、db/dbマウスはインスリン分泌が過剰であるため、β細胞から分泌されるインスリンを含む液性因子がその発現を調整していると考えた。 そこで、膵島周囲の腺房細胞CA-IXの生理的役割を解明するため、CA-IX阻害剤を2週間db/dbマウスに投与したところ、耐糖能の改善が認められた。しかしながら、病理学的に膵島を検討したところ、明らかな内分泌細胞構成に変化は見られなった。内分泌細胞増殖、分化転換も検討したが、コントロールと大きな変化は見出されなかった。このことからは膵島変化をみるためにはCA-IXをさらに長期間抑制する必要があると考えられた。そこで、サイアジェン社に依頼し、CA-IXノックアウトマウスを作製した。CA-IXの発現は膵島にはみられないため、コンディショナルノックアウトマウスでなくても良いと考えた。現在、CA-IXノックアウトマウスとdb/dbマウスを交配中である。 また、現在マウス膵臓から腺房細胞を単離、ex vivoで培養している。単離腺房細胞はインスリン刺激に反応することを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. CA-IXノックアウトマウスを作製し、db/dbマウスと交配している。 2. マウス腺房細胞の初代培養系を確立した。 3. CA-IX阻害薬は短期投与ではdb/dbマウス膵島病理に大きな影響を与えないことが見出された。 4. CA-IX阻害薬短期投与により耐糖能が改善することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. CA-IXノックアウトマウス/db/dbマウスを解析する。 2. 初代腺房細胞とβ細胞株であるMIN6細胞の共培養により、腺房細胞におけるCA-IXの役割をより詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
CA-IXノックアウトマウス作製費が予想外に低価格であったことが挙げられる。 解析実験に対して主に物品費として使用する予定である。
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