2021 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞は自らが産生するGABAにより内分泌機能を維持している
Project/Area Number |
21K08523
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宮田 茂雄 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40366836)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GABA / 膵島 / インスリン / 耐糖能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では膵β細胞が産生・分泌するγ-アミノ酪酸(GABA)に着目し、糖代謝調節機構における生理学的な意義を解明する。GABA合成酵素「GAD67」を膵β細胞特異的に欠失させた遺伝子改変マウスを新規に作製し、膵β細胞におけるGABA産生不全が引き起こす膵島の病変を検証する。また、血糖値や耐糖能、さらには膵島のインスリン分泌能に対して与える影響についても検討する。 野生型マウスの小脳および膵島を摘出し、GAD65/GAD67タンパク質およびGad2/Gad1 mRNAの発現についてそれぞれ検討した。その結果、マウス小脳ではGAD65およびGAD67タンパク質、ならびにGad2およびGad1 mRNAの両方が発現していたのに対し、マウス膵島ではGAD67タンパク質およびGad1 mRNAのみが発現していた。免疫染色法により膵島におけるGAD67タンパク質の局在性について検討したところ、GAD67タンパク質は膵β細胞(インスリン陽性細胞)に発現していた。そこで、rat insulin promoter(Rip)-CreマウスとGAD67-floxマウスとの交配により膵β細胞特異的にGAD67を欠失したGAD67flox/flox;Rip-Cre(GAD67-βKO)マウスを作製した結果、マウス膵島においてGABA免疫染色性が消失した。一方、GAD65欠損マウスの膵島ではGABA免疫染色性を確認できた。そこで、膵島中のGABA含有量についてLC/MSによる定量解析を行った結果、GAD67-βKOマウスの膵島GABA含有量は対照群と比較して約98%減少していた。このことから、マウス膵島におけるGABA産生はGAD67依存的であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスの作製が順調に進み、当初の計画以上の実験を行うことができた。次年度の研究を前倒しして実施している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に遺伝子改変マウスの作製は継続して行う。また、共同研究を活性化させ、多角的に研究を進める。
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