2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of novel causative genes of monogenic diabetes
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21K08527
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 大祐 京都大学, 医学研究科, 助教 (50582904)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年発症、非肥満、家系集積といった特徴を持ち、単一遺伝子異常による糖尿病が疑われる例はしばしばみられるが、既知遺伝子で説明できる例は一部に過ぎない。そこで、単一遺伝子異常による糖尿病の新規発症原因遺伝子同定を目的とし、研究を行うこととした。 この目的のため、35歳未満での若年診断糖尿病患者で、膵島関連自己抗体が陰性である者とその血縁者を解析対象とし、全血由来のDNAを用い、まず単一遺伝子異常による糖尿病の原因となる既知11遺伝子(HNF4A, GCK, HNF1A, PDX1, HNF1B, NEUROD1, INS, ABCC8, KCNJ11, WFS1, INSR 遺伝子)につきターゲットシーケンスを行った。そして、既知遺伝子に変異を見出すことができなかった例については、ゲノムDNAにつき次世代シーケンスを用いた網羅的解析を行った。 2022年3月までに、研究代表者らは122例の若年診断糖尿病患者につき、既知糖尿病原因遺伝子のシーケンスを行った。結果、HNF1A遺伝子変異が原因と考えられた例が11例、GCK遺伝子変異が原因と考えられた例が9例存在し、以下同様に遺伝子名と症例数を列挙すると、ABCC8遺伝子が5例、HNF4A遺伝子が3例、HNF1B遺伝子が3例、NEUROD1遺伝子が2例、KCNJ11遺伝子が2例、INSR遺伝子が1例であった。86例については、既知遺伝子に糖尿病の原因と考えられる変異を見出すことができなかった。 そこで、86例のうち特に若年診断であった例(主に小児期診断例)や、特徴的な併存症を有していた例を中心とし、11例について全ゲノムシーケンス解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では全エクソンシーケンス解析を予定していたが、最近全ゲノムシーケンス解析が以前に比して非常に安価となった。全ゲノムシーケンス解析にはゲノムの構造異常や、遺伝子の比較的大きな欠失を検出できる長所があるため、全ゲノムシーケンス解析を行うこととした。現在、新規の発症原因遺伝子同定のための絞込み作業を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノムシーケンスで得られた1タンパク質のアミノ酸配列変化を引き起こすnon-synonymous variantから、発症原因変異候補の絞込みを以下A)-C)の順に行う。 A) 若年診断糖尿病患者の発症原因はnon-synonymousかつrare variantであることが推定されるため、SNVデータベースを用い、一般人口における対立遺伝子頻度が0.1%以上のものを除外し候補を絞り込む。B)SNVの病原性につきデータベース(ClinVar)および機能予測ツール(PolyPhen-2, CADD)を用いて検討し、タンパク質機能に重大な影響を及ぼす可能性が低いものは除外する。C)家系構成員DNAをシーケンスした場合は罹患者に存在し家系内非罹患者に存在しないものを抽出する。 A)B)にて絞込みの予備検討を行ったところ1検体あたり40程度までSNVを絞り込めることが判明したため、SNVの存在する遺伝子の既知の機能等を参照し、症例によってはC)のプロセスも用い、新規の発症原因遺伝子同定を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)