2021 Fiscal Year Research-status Report
冠動脈壁・心筋・膵へ異所性脂肪蓄積を来す2型糖尿病臨床像の同定-多施設共同研究-
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21K08529
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小澤 純二 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80513001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 真吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40865979)
木村 武量 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70770171) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異所性脂肪 / 2型糖尿病 / 心筋 / 冠動脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院ならびに関連施設において2000年1月~2021年3月までの間に冠動脈造影CT検査(CCTA)を施行し、CCTAの前後1年以内に腹部単純CT検査を受けた2型糖尿病患者411名のうち、心疾患合併例、肝疾患合併例、血液透析もしくは腹膜透析施行例、ステロイド治療中、悪性腫瘍治療中などを除いた124例について、心筋CT値(脂肪蓄積を反映)と、患者臨床背景、心臓超音波検査で評価した心収縮能、心拡張能、他臓器の脂肪蓄積、冠動脈病変との関連を検討した。心筋CT値はBMI、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積と有意な負の関連を認め、肥満者で心筋脂肪蓄積が認められやすいことが示された。さらに心筋CT値と肝CT値は有意な正相関を認め、両臓器の脂肪蓄積に共通のメカニズムの存在が示唆された。また興味深い結果として、心筋CT値は心収縮能(EF)と正相関を示し、心筋脂肪蓄積が心収縮能低下と関連することが示された。年齢別、性別で解析を行うと、65歳以上、女性においてはそれぞれ心臓超音波検査で示される心拡張障害との関連が認められ、これらHFpEFのハイリスク患者における心不全の要因に心筋脂肪蓄積が関与する可能性も示唆された。一方、心筋の脂肪蓄積は、冠動脈の有意狭窄の有無、冠動脈多枝病変の有無、その後の冠動脈治療歴の有無、などとは関連を認めなかった。冠動脈壁については画像解析専門家での解析が中断しており検討が進んでいなかったが、画像解析ワークステーション(Vitrea CT CARDIACパッケージ)を購入したところであり、今後解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋脂肪蓄積と心機能との関連が示され、一定の成果を上げている。一方、冠動脈壁については画像解析専門家による解析が中断し進んでいなかったが、画像解析ワークステーション(Vitrea CT CARDIACパッケージ)を購入し、今後解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋脂肪蓄積と心機能を含む患者臨床背景との関連について論文化を進める。冠動脈壁の脂肪蓄積の解析については画像解析ワークステーション(Vitrea CT CARDIACパッケージ)を用いて今後進めていく予定である。また心筋CT値と経時的な心機能変化との関連、さらにはSGLT-2阻害薬、GLP-1受容体作動薬投与例における心筋CT値の経時的変化の有無を後向きに観察することで、両薬剤の心保護効果のメカニズムの一端に心筋脂肪蓄積の減少があるのかを明らかにする。また組織サンプルの入手可能な症例において、心血管系における異所性脂肪蓄積について組織学的に解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
冠動脈壁の画像解析専門家による解析が中断のため、人件費・謝金の支払いがなかった。一方、自己にて解析を進めるため画像解析ワークステーション(Vitrea CT CARDIACパッケージ)を購入し、物品費が増加した。結果としては差額が生じた。
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