2022 Fiscal Year Research-status Report
抗糖尿病効果を発揮する熱ストレス応答経路の多臓器間クロストーク解明
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21K08533
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
近藤 龍也 熊本大学, 病院, 講師 (70398204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 栄一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10253733)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 細胞内ストレス / 熱ストレス応答経路 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)HSP72全身型ノックアウトマウス (HSP72KO)の表現型を解析する。HSP72KOに高脂肪食負荷を10週間施行した後、体組成・代謝・炎症状態および組織学的検討を行った。HSP72KOは、対照マウスに比べて体重は不変であるが、空腹時高血糖、耐糖能悪化、インスリン抵抗性増強、内臓脂肪肥大、肝脂肪化を呈した。糖新生酵素 (PEPCK, G6Pase)の遺伝子発現は亢進し、脂肪合成酵素(SREBP-1c, FAS)の発現亢進も認めた。血中のサイトカインレベルは、adiponectin低下, IL-6上昇,TNF-α上昇, IL-1β上昇を示した。インスリン感受性組織におけるインスリンシグナルは減弱し、ストレス関連分子(JNK, NF-κB, IL-6, PERK, eIF2α, IRE1α, NOX, mtROS)の発現は亢進した。膵においては免疫組織学的検討によりインスリン発現低下、PDX-1発現低下を認め、膵島周囲にマクロファージの組織浸潤促進が確認された。 2)HSP72KOの脂肪組織・膵β細胞・マクロファージの各々に特異的にHSP72を発現回復できるシステムを構築する。臓器特異的にtransactivator (TA)を発現するconstructを作成する。 i)脂肪組織特異的プロモーター(adiponectin promoter)、 ii) 膵β細胞特異的プロモーター(RIP: rat insulin promoter)、 iii)マクロファージ特異的プロモーター(SR-A: scavenger receptor-A promoter)を各々クローニングし、recombinant trans-activator (TA)-poly Aを含むtransgeneの上流に組み込んだ。各々のベクターを共発現するマウスラインを構築し、HSP72KOと交配している。 3)HSP72KOに脂肪特異的HSP72発現回復したモデルマウスの表現型解析。2型糖尿病様のインスリン抵抗性・耐糖能異常を示すHSP72KOに脂肪特異的HSP72発現回復すると、糖負荷試験における血糖上昇が抑制され、インスリン負荷試験での血糖低下が顕著であった。さらに詳細に検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度: HSP72KOの表現型を解析と臓器特異的HSP72発現回復システムの構築、HSP72KOに脂肪特異的HSP72発現回復したモデルマウスの表現型解析など、予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
各々のHSP72発現回復マウスの代謝状態・体組成・慢性炎症などを1)の研究と同様の内容で検討し、特定の臓器におけるHSP72の役割を解明する。HSP72発現回復を行った以外の臓器での遺伝子発現変化、蛋白発現変化および血中サイトカイン(アディポカイン、ヘパトカイン、マイオカインなど)を検討するとともに、細胞内においてHSP72が調節あるいは結合して作用を修飾する分子を同定し、臓器間および分子間相互作用を解明する。令和3年度: HSP72KOの表現型を解析と臓器特異的HSP72発現回復システムの構築。令和4年度:臓器特異的HSP72発現回復システムを用いた糖尿病モデルマウスの糖代謝関連表現型解析。令和5年度:臓器特異的HSP72発現回復システムを用いた臓器特異的HSP72の機能解析および臓器間・分子間相互作用の解明、候補パートナー特異的探索と網羅的プロテオミクス解析 を施行
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Causes of Carryover |
抗体、試薬等の購入を行ってきたが、数千円単位まで正確に使用できなかったため、次年度に使用します。
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Research Products
(67 results)
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[Presentation] オクトレオチドによるSSTR2の発現低下が低血糖抑制効果の消失につながったと考えられたインスリノーマの一例2022
Author(s)
羽根田昌樹, 福田一起, 蓑田理彦, 近藤龍也, 井形元維, 岡川章太, 阪口雅司, 瀬ノ口隆文, 本島寛之, 水流添 覚, 荒木栄一
Organizer
第22回日本内分泌学会九州支部学術集会
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[Presentation] 糖尿病性腎症の予見因子としての指尖部AGE測定の有用性2022
Author(s)
松村剛, 山中幹宏, 瀬ノ口隆文, 石井規夫, 福田一起, 梶原伸宏, 八木善嵩, 吉永智明, 近藤龍也, 永井竜児, 荒木栄一
Organizer
第65回日本糖尿病学会総会
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[Presentation] 異所性ACTH産生再発性巨大褐色細胞腫の病態生理2022
Author(s)
井手芙美, 近藤龍也, 前田沙梨恵, 浜田英明, 木村伯子, 玉野井愛, 西田彩子, 阪口雅司, 井形元維, 横尾貴保, 川上史, 荒木栄一
Organizer
第95回日本内分泌学会学術総会
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[Presentation] 糖尿病性大血管合併症に対する指尖部 AGE 測定の有用性2022
Author(s)
松村剛, 山中幹宏, 高橋弘幸, 川出茂, 山神大, 有村愛子, 出口尚寿, 野見山崇, 川浪大治, 西尾善彦, 荒木栄一
Organizer
第60回日本糖尿病学会九州地方会
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