2021 Fiscal Year Research-status Report
劇症1型糖尿病の総合解析 免疫チェックポイント阻害薬関連発症例に着目した検討
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21K08538
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
今川 彰久 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (80373108)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 1型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)劇症1型糖尿病患者およびモデルマウスの膵組織における鍵分子の発現:研究協力者らにより、抗PD-1抗体薬投与後に1型糖尿病を発症した症例の剖検膵を用い、膵におけるPD-L1の発現を免疫組織化学的に検討した。その結果、PD-L1が膵の一部に発現していることを明らかになった。 2)劇症1型糖尿病患者におけるCD300eの解析:抗CD300e抗体の機能解析として、劇症1型糖尿病患者(FT1DM)、自己免疫性1型糖尿病患者(AT1DM)、2型糖尿病患者(T2DM)、健常者(HC)の末梢血中から単離した樹状細胞/単球におけるCD300eの発現をフローサイトメトリーを用いて測定し、発現率に加え、新たにMean Fluorescence Intensityの解析を行なった。上記の対象群(FT1DM, AT1DM, T2DM, HC)をさらに詳細に分割して検討した結果、ある集団においてMean Fluorescence Intensityが高値であることを見出した。一方、CD300eのリガンドであるsphingomyelinを用いて刺激培養試験を実施し、上清中のサイトカイン濃度を測定する系を確立した。 3)高齢者劇症1型糖尿病の臨床的特徴の検討と治療への提案:高齢者1型糖尿病における、血糖コントロールと認知機能の関係を明らかにする目的で、65歳以上の高齢者1型糖尿病患者45名において、血糖コントロール指標を含む種々の臨床指標を検討した。認知機能の評価にはHDS-Rなどの指標を用いた。その結果、過去の平均血糖コントロール指標が高値であることおよび発症時からの重症低血糖の既往があることが認知機能の低下に関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)については、症例の集積に時間を要しているが、一部では具体的な免疫組織化学的検討が開始されており、進捗している。 2)については、フローサイトメトリーを用いた検討および刺激培養試験での検討においては、症例は順調に集積している。また、新たに導入したMean Fluorescence Intensity (MFI)の解析の結果、MFIが高値である集団を見出すなど、研究は順調に進捗している。CD300eのリガンドであるsphingomyelinを用いた刺激培養試験系も確立した。 3)については、劇症1型糖尿病を含む高齢者1型糖尿病における検討が予定どおり進捗した(論文投稿中)。 以上のように研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)劇症1型糖尿病患者およびモデルマウスの膵組織における鍵分子の発現:集積された患者膵においては、今後、膵島内に残存しているCD3陽性細胞浸潤と膵島内細胞のPD-L1陽性率の関連などについて検討する予定である。さらにEMC(encephalomyocarditis) virus 感染劇症1型糖尿病モデルマウス膵における鍵分子候補の発現を免疫組織化学などにより検討する計画である。これらの検討で鍵分子が明らかにならない場合は、さらに候補分子を増やして検討を進める。具体的にはCTLA-4, CD28, CD80/86, CD11b, CD11c, CD163, CD300e, HLA class I, HLA class II, CSAD, ITGB7などの分子である。 2)劇症1型糖尿病患者におけるCD300eの解析:フローサイトメトリーを用いた検討および刺激培養試験での検討においては、集積した検体を用いた検討を進める。患者血中CD300e抗体の測定はCOVID-19などの影響を受けているが、今後重点的に症例の集積に努める。 3)高齢者劇症1型糖尿病の臨床的特徴の検討と治療への提案:今後は劇症1型糖尿病を対象として抽出、場合によってはさらに症例を増やし、認知機能の低下など血糖コントロールに影響を与える因子を統計学的な手法を用いて明らかにする。最終的には、これら結果より、高齢1型糖尿病における最適の治療目標、それを達成するための治療方法を提案する。 これらの方策は研究代表者のもと、研究協力者、大学院生を組織して推進していく。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初の計画の手順を一部修正し、今年度は高齢者劇症1型糖尿病の臨床的特徴の検討と治療への提案についての検討を重点的に進めたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) サイトカイン等測定キット購入費用、FACSおよび免疫組織化学に使用する抗体と染色キット、遺伝子発現量測定のためのキット、DNA抽出と塩基配列同定のためのキット購入費用、血中サイトカイン濃度の測定など、計画にしたがって研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)