2022 Fiscal Year Research-status Report
Homeostatic system mediated by amino acid signaling through intercellular crosstalk between pancreatic endocrine cells
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21K08547
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中川 祐子 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (90422500)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵内分泌細胞 / PP / γ細胞 / α細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内において、各臓器は正常機能を維持するため、細胞の量とその運命を厳密にコントロールする。膵臓の内分泌組織である膵島でも他の組織と同様にα、β、δ、PPの4種類の細胞の量がそれぞれ決められており、その細胞増殖の制御と細胞運命維持の破綻が糖尿病等の発症へと直結する。γ細胞は膵内分泌細胞の一つで、膵頭部に多く存在する。γ細胞が分泌するPPは摂食や肥満の抑制、脂質代謝異常症の改善に寄与することが知られているが、γ細胞自身の生理的意義については不明な点が多い。そこで我々はγ細胞の生理的機能を明らかにする目的でγ細胞の量の変化するモデルを探索した。その結果、プログルカゴン遺伝子欠損マウス(Hayashi, Y. et al., Mol. Endocrinol., 2009)でγ細胞が過形成すること、正常膵内分泌細胞ではあまり見られないPP+ グルカゴン+(GCG+)二重陽性細胞が多数存在することを見出した。これに加えて、これまでの知見から肝臓でのグルカゴン作用不全によりα細胞の過形成が誘導される(Solloway,M. J. et al., Cell Reports, 2015)。また、この現象は、肝臓でのアミノ酸の取込みおよび異化作用の抑制により血中のグルタミンをはじめとするアミノ酸が上昇し、これが引き金となり、α細胞のグルタミントランスポーターであるSlc38a5の発現が亢進し、α細胞内に多くのグルタミンが取り込まれることで増殖シグナルであるmTOR経路が活性化され、α細胞の過形成が誘導される(Dean, E. D. et al.,Cell Metab.,2017)。その後、我々はγ細胞に注目して解析を行うことにより、グルカゴン作用不全によってγ細胞が自己増殖すること、また増殖した多くのα細胞がPPを発現し、PP+ GCG+二重陽性細胞となることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私たちはγ細胞がグルカゴン作用不全により、自己増殖またはα細胞がPpy遺伝子を発現することにより過形成することを報告してきた。このメカニズムについては、肝臓でのグルカゴン作用不全によってα細胞の過形成に加え、γ細胞の過形成とPP+ GCG+二重陽性細胞が誘導されることが考えられる。 また、γ細胞の過形成には、γ細胞自身が自己増殖により増えるものと、増えたα細胞がPPを発現し、PP+ GCG+二重陽性細胞となり、結果的にγ細胞が増えたものが存在することがわかってきた。さらに、PP+ GCG+二重陽性細胞ではmTOR経路が活性化されているが、PP+単独陽性細胞ではmTOR経路の活性化が観察されないことから、両者は違う因子により制御されている可能性が考えられた。そこでまず、γ細胞の自己増殖とPP+ GCG+二重陽性細胞が高濃度アミノ酸条件下で誘導されるかどうか検討を行った。具体的には野生型マウスの単離膵島を用いて、高濃度アミノ酸条件下の一つである高濃度グルタミン条件下でγ細胞の自己増殖とPP+ GCG+二重陽性細胞が誘導されるか検討を行った。その結果、高濃度グルタミン条件下でα細胞とのγ細胞数の増加は認められたものの、γ細胞の自身の自己増殖が起きているかは不明であった。一方、PP+ GCG+二重陽性細胞の増加とmTORの活性化が認められた。この結果は、アミノ酸の一つであるグルタミンによってmTORの活性化が誘導され、それによりPP+ GCG+二重陽性細胞が増殖したものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討からグルカゴン作用不全によってα細胞がPPタンパク質を発現することを示唆された。次の課題として、なぜα細胞がなぜPPタンパク質を発現するのかが疑問である。この課題を明らかにするために、Ppy遺伝子でDTAが発現し、細胞死を引き起こすPpy-DATマウスを作製した。このマウスより単離した膵島とコントロールと比較し、高アミノ酸条件下でα細胞が増殖するか否かを検討する。予備実験の結果、Ppy-DATマウス由来の膵島では、高アミノ酸存在下においてもα細胞は過形成を示さなかった。この結果はα細胞の増殖にPpy遺伝子の発現が関与する可能性が考えられる。現在、検討数を増やし、この現象が再現できるか否か検討中である。Ppy遺伝子の発現亢進がどのようにα細胞の過形成に関与するのかを明らかにしたい。
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