2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of pathophysiology and treatment strategies of peripheral clock disruption
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21K08550
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藤 仁 金沢大学, 医学系, 教授 (50382875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩 金沢大学, 医学系, 教授 (30252456)
大黒 多希子 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 教授 (30767249)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 生体リズム / 体内時計 / 時計遺伝子 / 肝 / GLP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、末梢体内時計の障害は生活習慣病の一因であることが明らかになった。すなわち、肝や脂肪組織など各臓器の個々の細胞には体内時計(末梢時計)が備わっていること、それらの細胞内体内時計が発振する生理機能の日内リズムは生体の恒常性維持に重要であること、そのため、不適切な生活習慣や遺伝的要因による体内時計の障害は2型糖尿病、脂肪肝、高血圧などをもたらすことが判明した。そこで本研究は、われわれが見出した体内時計制御薬であるGLP-1受容体作動薬の作用機構を解明し、末梢時計障害の治療基盤を確立することを目的とした。 令和3年度は、正常マウスにGLP-1受容体作動薬エキセナチドを腹腔内に反復投与し、投与時刻と肝の体内時計との関係を調べた。活動期の開始時にのみ給餌を行う時刻制限給餌下では、エキセナチドの投与時刻にかかわらず、エキセナチドは体内時計の位相に影響しなかったが、活動期の開始時に投与した場合には振幅が増大した。一方、休息期にのみ給餌を行う時刻制限下では、エキセナチドを活動期の開始時に投与した場合には明確に食餌による位相変化を抑制し、休息期の開始時に投与した場合には食餌の同調作用を増強した。これらのことから、GLP-1受容体作動薬が体内時計におよぼす影響は投与時刻依存的であり、活動期開始時の投与が生理的であることが判明した。 令和4年度は、GLP-1受容体作動薬が生体内のどの部位に作用しているかを検討するため、Nestinプロモーター制御下でGLP-1受容体を欠損するマウスを作製しエキセナチドを投与した。このマウスでは中枢神経特異的なGLP-1受容体欠損が認められ、エキセナチドによる肝の体内時計制御作用はほぼ消失した。したがって、GLP-1受容体作動薬は中枢神経に作用することにより肝の体内時計を制御することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GLP-1受容体作動薬の作用部位としては中枢神経、末梢神経、肝の可能性があったが、最初の検討により中枢神経が重要であることが明らかになったため、予定よりもやや早期に研究成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究成果の報告を行い、必要に応じて補足の追加実験を行う。
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Causes of Carryover |
一部の物品を購入するタイミングが次年度にずれ込んだものの、支出はほぼ計画通りであり、このまま当初の使用計画を継続する。
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Research Products
(4 results)