2021 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞からのインスリン分泌を制御する新規分子機構の同定と生理的意義の解明
Project/Area Number |
21K08551
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
駒津 光久 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (90221978)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 洋輔 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (70793925)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | インスリン分泌 / 膵ベータ細胞 / ブドウ糖 / インクレチン / パルミチン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はブドウ糖によるインスリン分泌機構における代謝性増幅経路を担う分子基盤を解明することである。我々の探索する経路はCa2+非依存性であるために、2021年度はCa2+非存在化での低及び高濃度ブドウ糖刺激したラットランゲルハンス島からタンパクを抽出しタンパク2次元泳動上での網羅的比較(プロテオーム解析)を3回実施した。その結果、先行研究で予想していた塩基性25kD付近で差を認めるスポットを確認した。このスポットをLCMSMSによりアミノ酸配列を同定し、プロゲステロン受容体膜構成因子1:progesterone receptor membrane associated component 1,(PGRMC1)であることを明らかにした。文献的にはPGRMC1はインクレチンであるGLP-1の受容体と結合しインスリン分泌を制御している報告がある。さらにPGRMC1には一箇所パルミチル化を起こす部位が存在し、現在、ブドウ糖刺激でPGRMC1のパルミチル化に変化があるか検討しているがまだその証拠は得られていない。 さらにパルミチル化を評価する新しい方法として報告されたAPEGS法について、ラット肝細胞を用いた実験で、我々の手でも再現性を持って、タンパクのパルミチル化が評価できることを確認した。 また、この過程でもう一つのタンパクXを候補分子として選択した。Xは分泌機構に関与していることが既に報告されており、複数箇所のパルミチル化を受けることが知られている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インスリン分泌機構における代謝性増幅経路を担う分子基盤の候補として新たに2つのタンパク質を見つけることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、インスリン分泌機構における代謝性増幅経路を担う分子基盤の候補として今年度に同定したPGRMC1とタンパクXについて各種機能解析実験を行う。特にタンパクのパルミチル化がブドウ糖刺激で誘導されるかをラットランゲルハンス島と膵β細胞株を用いて繰り返し検証していく。また、インスリン分泌制御機構で大切な役割を有するインクレチン作用(cAMP作用)とこれら候補タンパク質との関連を解明していく。同時に、siRNAを用いて、これらのタンパク質の発言を抑制し、インスリン分泌に対する影響も評価する。 当初予定していた、μ-crystallinおよびエストロゲン受容体のインスリン分泌における役割検討は、優先順位を考慮して、しばらく延期する。
|
Causes of Carryover |
関連研究で他の財源から消耗品を調達したことなどによる少額の次年度使用額であり、試薬や動物の購入として使用する予定である。
|