2022 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞イメージング法を用いた糖尿病病態の解明とその応用
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21K08553
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 裕之 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (50437274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵β細胞イメージング / 糖尿病 / 膵β細胞量 / 膵島移植 / imeglimin |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から実施中のミトコンドリア機能改善薬imegliminの糖尿病治療効果についての膵β細胞量の観点からの検討を引き続き実施した。Db/dbマウスを用いて、4週齢から5週間imegliminの投与を行い、グルコース負荷試験(OGTT)、膵β細胞量評価(病理評価およびSPECTイメージングによる評価)、ミトコンドリア機能に関する評価を行った。その結果、10週齢においてImeglimin投与群において耐糖能の改善がみられOGTTの30, 60分値において有意な差がみられた。次に膵β細胞量を10週齢マウスの膵臓切片をインスリン染色によって評価し、imeglimin投与群にて膵β細胞が多く存在していることが分かった。これは、Ki67およびTUNEL評価から膵β細胞のアポトーシスが抑制された結果であることが示唆された。また、In-111標識exendinプローブを用いたSPECTイメージングによる経時的な膵β細胞量の評価も行い、病理評価と同様にimeglimin投与群において膵島保護作用により膵β細胞量が多く残存していることが分かった。ミトコンドリアの膜電位の変化やミトコンドリアでのアポトーシスに関係するcytochrome cについても評価し、imeglimin投与がアポトーシスの抑制につながり、膵β細胞量減少を抑制していることを示した。 また、In-111標識exendinプローブを用いたSPECTイメージングによる膵β細胞量評価方法を用いて、移植膵島の評価についても検討を行った。150個、400個の膵島を経門脈的にSTZ投与による糖尿病モデルマウスに移植し経時的に評価を行った。随時血糖、体重、膵β細胞量評価、ARGなど行い、本イメージング手法による経時的な移植追悼の追跡に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ当初の計画通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、In-111標識exendinプローブを用いたSPECTイメージングによる膵β細胞量評価の応用に関する検討を実施し、その可能性・有用性を示してきた。今後は、経時的な糖尿病の経過を膵β細胞量の観点から評価を行う。現在、糖尿病の分野では、血糖値や血中インスリン値など血液学的な観点から糖尿病の経過について診断・評価されている。しかしながら、血糖値が上昇したころにはすでに膵島(膵β細胞)量がかなり減少していると言われている。そのため、糖尿病発症からの経過における血糖値などの因子を含めた病態と、膵β細胞量の関係を理解することは重要である。そのため、その糖尿病病態と膵β細胞量の関係を検討する必要があると考えられる。従ってそれらを解明するための検討を進める。糖尿病発症過程における膵β細胞量の変化を評価するために緩やかに耐糖能が悪くなるモデル動物を用いて縦断的な膵β細胞量の変化を本イメージング手法(In-111標識exendinプローブを用いたSPECTイメージング)を用いて検討を行う。その際、糖尿病の病態進行の各段階における随時血糖値や体重、耐糖能の変化についても評価し、糖尿病発症過程における血糖値や耐糖能などと膵β細胞量の関係について詳細な検討を行う予定である。本評価が実現できれば、膵β細胞イメージングを行うことで糖尿病の新しい診断方法になるとともに治療方針の決める助けとなる可能性がある。また、早期介入に関しても期待でき発症自体の抑制に寄与できる可能性がある。
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Causes of Carryover |
本研究遂行にあたり、次年度使用額が生じた理由については、本年度実施した研究について当初予定していた消耗品について少なく進めることができたことが挙げられる。実験試薬や実験動物の使用について効率的に実施することができたことが大きな理由である。また、次年度の繰り越し分と合わせた使用計画については、当初の予定の物品費(実験試薬(各種測定キット(インスリン、プロインスリン、c-ペプチド)、特殊飼料)やプラスチック器材など)に繰り越し分を加えて使用する予定そのほかは、当初予定通り、旅費(日本糖尿病学会や日本内分泌学会、日本膵臓学会などへの参加)その他(放射性廃棄物処理費など)などを見込んでいる。
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Research Products
(8 results)