2022 Fiscal Year Research-status Report
褐色脂肪細胞活性調節におけるマクロファージの役割の解明
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21K08559
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
瀬ノ口 隆文 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任講師 (00530320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 褐色脂肪 / マクロファージ / 耐糖能 |
Outline of Annual Research Achievements |
褐色脂肪組織におけるマクロファージの数の制御による褐色脂肪組織の炎症、全身のインスリン抵抗性、エネルギー代謝に対する効果を検討する。特に褐色脂肪組織の白色化および機能障害に対するマクロファージの影響を検討し、マクロファージの制御による褐色脂肪細胞の機能への効果を検討することを目的とする。 昨年度の研究に引き続き、今期の研究の概要として、マクロファージ特異的増殖抑制マウスおよび対象のマウスに対する高脂肪食を負荷に加え、ob/obマウスとマクロファージ増殖抑制マウスの交配を行い、高脂肪食負荷とは異なる肥満、インスリン抵抗性モデルマウスでの検討を行った。肥満によって引き起こされる褐色脂肪の白色脂肪化がマクロファージ増殖抑制により抑制されることを複数の肥満モデルマウスで確認した。褐色脂肪組織のマクロファージをフローサイトメトリーで解析を行った。マクロファージ特異的増殖抑制マウスの褐色脂肪組織においては、対照群に比し、マクロファージの極性は、M1/M2比が低下し、炎症抑制的に変化していた。高脂肪食および遺伝的肥満の誘導によって引き起こされる褐色脂肪組織の炎症はマクロファージ増殖抑制にて有意に減少した。一方で、寒冷刺激によりUCP-1をはじめとするエネルギー代謝関連遺伝子の発現は増加するが、マクロファージ増殖抑制によって有意に減少することの治験を得ていたが、詳細な機序や、その生理学的意義の解明にはさらなる検討が必要であり、複数のモデルマウスを用いた検討を継続する。 これらの検討結果はマクロファージの数の制御による褐色細胞組織の機能制御の可能性を示唆するとともに、次年度以降の本課題の遂行の礎となる検討結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満、糖尿病モデル動物の褐色脂肪組織におけるマクロファージの役割について検討を行っており、複数のモデルマウスで褐色脂肪におけるマクロファージ数の変化、炎症などの機能の変化を確認している。肥満、インスリン抵抗性の病態における褐色脂肪組織でのマクロファージ数の変化や、その意義を、遺伝子発現およびフローサイトメトリーの手法を用い解析する方法を確立し、これらを用いた。さらに、褐色脂肪組織におけるマクロファージ数の制御を目的とした、新たなマクロファージ特異的増殖抑制マウスの作成に着手しており、肥満・糖尿病モデルマウスとの交配を継続して行い、次年度以降の実験に十分な個体数の確保を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満・糖尿病モデルマウスを用い、褐色脂肪組織のマクロファージ数の制御モデルの作成を進める。今後は特に褐色脂肪組織への浸潤マクロファージ数制御を目的とした褐色細胞特異的MCP-1欠損マウスの作成を継続し、褐色脂肪白色化のメカニズムに対するマクロファージの役割の解明を進める。また、モデルマウスの作成と同時に細胞実験を行う。具体的には、初代培養の褐色脂肪細胞とマクロファージの共培養による、マクロファージによる褐色脂肪細胞機能への影響を検討することを推進する。
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Causes of Carryover |
残が少額であり、使い切るための無用な使用をさけ、次年度への繰り越しとした。
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