2022 Fiscal Year Research-status Report
CRF受容体1および2遺伝子改変マウスによるCRFニューロン回路の同定と機能解析
Project/Area Number |
21K08563
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
井樋 慶一 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (60232427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 広 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20435530)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マウス / ストレス / 脳 / 神経路 / ウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は最近,CRF受容体1 (CRFR1) 遺伝子,または,CRF受容体2(CRFR2)遺伝子にCreリコンビナーゼをノックインしたマウス(CRFR1-CreおよびCRFR2-Cre)を作製した.これらのドライバーマウスとGFPレポーターマウスを交配して作製したCRFR1発現ニューロン選択的GFP発現マウス,および,CRFR2発現ニューロン選択的GFP発現マウスを用いて,マウス脳内におけるCRFR1およびCRFR2発現ニューロンの分布を検討した.この実験は前年度に既に行ったものであるが,一部実験結果に不確かな部分があったので再実験を行なった.CRFR1およびCRFR2発現ニューロンの脳内分布はこれまでにin situ hybridization法を用いて検討された結果にほぼ一致した.次に,CRFR1発現ニューロンおよびCRFR2発現ニューロンの投射先を明らかにするために,Cre依存的GFP発現ウイルスベクターを局所注入し,これらのニューロンを順行性に追跡した.まず初めに視床下部室傍核(PVH)に存在するCRFニューロンの部位にウイルスベクターを注入したところ,これらのニューロンは,孤束核,青斑核,視床室傍核,外側視床下部など広範な脳内に投射することが明らかにされた.孤束核にはCRFR2発現ニューロンが認められたので,現在これらのニューロンの投射神経路を追跡中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,前年度に既に行った実験結果の一部に不確かな部分があったため,再実験を行なった.すなわち,CRFR1-CreおよびCRFR2-CreドライバーマウスとGFPレポーターマウスを交配して作製したCRFR1発現ニューロン選択的GFP発現マウス,および,CRFR2発現ニューロン選択的GFP発現マウスを用いて,マウス脳内におけるCRFR1およびCRFR2発現ニューロンの分布を再度検討しなおした.その結果,CRFR1およびCRFR2発現ニューロンの脳内分布はこれまでにin situ hybridization法を用いて検討された結果にほぼ一致した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,まず,現在進行中の延髄孤束核(NTS)におけるCRFR2発現ニューロンの順行性追跡実験を火完成させ,NTSからCRFR2発現ニューロンがいずれの脳内領域に投射するかを明らかにする.次に,Cre依存的チャネルロドプシン2(ChR2),または,Cre依存的抑制型チャネルロドプシン2(ACR2)発現ウイルスベクターをNTSに注入し,これらのマウスに光ファイバーを植え込み,青色光照射によりNTSにおけるCRFR2発現ニューロンを選択的に刺激,または,抑制する.光照射マウスの摂食量を対照マウスと比較し,NTSにおけるCRFR2発現ニューロンが摂食調節に及ぼす役割を検討する.これと並行して,青斑核(LC)におけるCRFR1発現ニューロンの投射先を追跡し,さらに,NTSと同様の手法をもちいて,光遺伝学的実験により,LCにおけるCRFR1発現ニューロンの不安様行動における役割を検討する.これらの成果をまとめ,国際誌に投稿する.
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Causes of Carryover |
マウス床敷料金が改訂されたため,予定支出と実質支出に齟齬が生じたため.
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