2023 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞におけるインスリンシグナルが可塑性に及ぼす影響の解明
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21K08579
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10335440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺原 俊一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00570342)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵β細胞 / 可塑性 / mTORC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者はこれまでに、膵β細胞におけるインスリンシグナルの研究を行ってきた。膵β細胞特異的にTsc2を欠損させたマウス(βTSC2KO)では、若齢期において膵β細胞量増大、低血糖を示すものの、高齢期になると膵β細胞量減少、高血糖を呈することを報告している。膵β細胞量減少の機序として、これまでに増殖能低下、アポトーシス亢進が重要であることを明らかにしてきたが、近年、膵β細胞の可塑性に注目が集まっており、βTSC2KOにおいても影響している可能性を考慮して本研究を開始した。 βTSC2KOの膵島では、若齢期から腺房細胞マーカーであるPtf1aが発現しており、高齢期になるとアミラーゼ陽性細胞が多数認められるようになった。これらの由来を確認すべく、lineage-tracingを検討したところ、膵β細胞由来マーカーであるYFPとアミラーゼの共陽性細胞が確認された。これらの結果より、mTORC1活性亢進が膵β細胞の可塑性に影響することで、腺房細胞に分化転換している可能性が考えられた。さらにこの現象の普遍性を確認すべく、db/dbマウスにRosa26-YFPマウスを交配し、lineage-tracing解析を行った。その結果、db/dbマウスでも膵島内において膵β細胞由来アミラーゼ陽性細胞が存在することが明らかとなった。これは、db/dbマウスの膵β細胞においてmTORC1活性が亢進していることによるものと考えられる。mTORC1活性阻害剤であるラパマイシンを投与したところ、Ptf1aの発現が消失したことから、やはりmTORC1活性が本現象に関与していると考えられる。これらの結果より、膵β細胞におけるmTORC1活性亢進が分化転換に影響しているものと考えられた。
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