2021 Fiscal Year Research-status Report
疾患iPS細胞を用いた骨格筋代謝におけるミトコンドリア機能の意義の解明
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21K08587
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
曽根 正勝 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40437207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 純二 京都大学, 医学研究科, 助教 (70378743)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 骨格筋 / ヒトiPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2名のミトコンドリア病患者から樹立したiPS細胞をそれぞれMt1 iPS細胞、Mt2 iPS細胞とし、それぞれ複数のクローンを選択して分化誘導を行い解析した。mtDNAのA3243G変異が検出できないクローン(Mt1-1、Mt1-2)(Mt2-3、Mt2-8)、変異の比率が70%を超えるクローン(Mt1-3、Mt1-4)(Mt2-5、Mt2-6)について、それぞれプラスミドpHL-EF1a-hcPBase-iP-A、KW879-hMyoDを用いてhMyoDを導入し、doxycyclineを用いてセレクションを行い、それぞれのクローンについてhiPS-MyoD細胞を作成した。それら細胞をラミニンコートディッシュ上で、StemFit AK02N培地により骨格筋細胞に誘導した。誘導した骨格筋細胞は、蛍光免疫染色にてMHC(myosin heavy chain)、CKM(muscle-type creatine kinase)陽性で骨格筋特有の形状を示した。分化誘導後のミトコンドリア変異率をinvader assayで解析したところ、Mt1-1(1%以下), Mt1-2(1%以下), Mt1-3(85%), Mt1-4(88%)。Mt2-3(1%以下),Mt2-6(88%)と、同一の患者よりミトコンドリア変異を有さない骨格筋細胞と高率に有する骨格筋細胞の両方を誘導できた。ミトコンドリア変異率は骨格筋への分化誘導には影響を与えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞の維持培養環境、実験環境を無事整えることが出来た。2名のミトコンドリア病の患者から樹立したiPS細胞のうち、mtDNAのA3243G変異が検出できない細胞クローンと, 高率で変異を有する細胞クローンの両方を確立・維持し、それらiPS細胞クローンからMyoDの遺伝子導入を介して骨格筋細胞を誘導することが出来た。mtDNAの変異率は骨格筋誘導自体には影響を与えず、また分化誘導後のmtDNAの変異率も大きく変化せず、患者(宿主)の遺伝子背景は同じでmtDNAの変異率のみ異なる骨格筋細胞を作成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まずは細胞外フラックスアナライザーを用いて、酸素消費速度を指標に、mtDNAのA3243G変異を有さない骨格筋細胞と高率に有する骨格筋細胞のミトコンドリア機能の差異を解析していく。さらに、それらミトコンドリア機能の差異が、骨格筋の糖代謝能にどのような影響を与えるかを解析していく。インスリン刺激に対するグルコースの取り込みと応答を測定し、ミトコンドリア機能との関連を解析していく。インスリン受容体やグルコーストランスポーター(GLUT4など)の発現および膜移行の比較解析なども行っていく。さらに、エネルギー代謝の主要な調節因子であり筋肉タンパク質発現増強や筋肉機能に関与するAMPKの発現やリン酸化、mTORやIGF-1シグナルの活性、ミトコンドリア合成や運動による骨格筋の変化などに関与する転写共役因子PGC-1αの各種アイソフォームの発現なども比較解析する。
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Causes of Carryover |
消耗品の納品が一部年度を超えたため少額の繰り越しがあるが、使用計画に変更はなし。
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