2022 Fiscal Year Research-status Report
疾患iPS細胞を用いた骨格筋代謝におけるミトコンドリア機能の意義の解明
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21K08587
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
曽根 正勝 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40437207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 純二 京都大学, 医学研究科, 助教 (70378743)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 骨格筋 / ヒトiPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、2名のミトコンドリア病の患者から樹立したiPS細胞のうち、mtDNAのA3243G変異が検出できない細胞クローンと, 高率で変異を有する細胞クローンの両方から骨格筋の誘導を、それぞれ2クローンづつ行うことができた。本年度は、これらミトコンドリア病疾患iPS細胞から誘導した骨格筋細胞において、mtDNA変異の有無によるミトコンドリア機能の差異の解析を行った。 細胞外OCR(酸素消費速度)の測定は、XF24 Extracellular Flux Analyzer(Seahorse Bioscience, Billerica, MA, USA)を用いて,製造元のプロトコルにしたがって測定した.MatrigelでコーティングしたFluxPak-XFe24 アッセイパック(Agilent Technologies, CA,USA)付属の専用プレートにhiPS-MyoD細胞0.3×10^5個になるように播種し、10日間骨格筋誘導を行った。測定前日に、センサーカートリッジをキャリブラントで水和させた。XFミトストレスキット(Agilent Technologies, CA,USA)を用いて2uM Oligomycin,(ATP合成酵素阻害剤) 1.0uM FCCP(脱共役剤), 0.5uM ROT/AA(ミトコンドリア電子伝達系阻害剤)を連続的に添加しOCRを測定した。結果は各ウェルの総細胞数をカウントし標準化した。 細胞外フラックスアナライザーを用いた解析にて、mtDNAのA3243G変異(+)と(-)の骨格筋細胞ではOCR(酸素消費速度)に差異を認め、中でもBasal OCR, ATP productionなどに差異を認めている。現在、上記の解析のnの数を増やし、統計的な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2名のミトコンドリア病の患者から樹立したiPS細胞から、mtDNAのA3243G変異が検出できない細胞クローンと, 高率で変異を有する細胞クローンの両方を確立・維持し、それらiPS細胞クローンからMyoDの遺伝子導入を介して骨格筋細胞を誘導できた。mtDNAの変異率は骨格筋誘導自体には影響を与えず、また分化誘導後のmtDNAの変異率も大きく変化せず、患者(宿主)の遺伝子背景は同じでmtDNAの変異率のみ異なる骨格筋細胞を作成することが出来た。これらの細胞におけるミトコンドリア機能の解析も順調に進んでいる。ただし、必要な実験期間や作業量から、nを重ね統計学的な処理をするにはまだ時間が必要で、現在実験を積み重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外フラックスアナライザーを用いて骨格筋におけるmtDNAのA3243G変異がもたらすミトコンドリア機能の差異について解析を進めていく。また、Complex I activityの解析や、活性酸素産生量の解析などを行っていく。さらに、リン酸化抗体を用いてAMPKの活性化の解析、GLUT-4やPGC-1αなどの発現の比較解析なども行っていく予定である。 その後は、両群での糖代謝機能の解析を行い、ミトコンドリア機能が骨格筋の糖代謝機能に与える影響を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
ミトコンドリア機能解析の実験の積み重ねが一部年度を超えたため少額の繰り越しがあるが、使用計画に変更はなし。
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