2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔、咽頭、喉頭、食道扁平上皮癌における唾液腫瘍マーカーの抽出
Project/Area Number |
21K08631
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
野本 周嗣 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40300967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 真理子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (00336687)
後藤 満雄 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (60645191)
神田 光郎 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (00644668)
今澤 正彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10846091)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 扁平上皮癌 / 食道癌 / 口腔癌 / 咽頭・喉頭癌 / 唾液 / 発現アレイ / 細菌叢 / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔から咽頭、喉頭を経て食道に至るまでの扁平上皮は連続しており1日に1.5L分泌される唾液に暴露されている共通点があり、臨床的に複数部位での癌合併症例がしばしば認められる。進行すると予後、QOL共に不良であるこれらの扁平上皮癌の早期診断や発症危険群を簡潔に抽出することは意義がある。唾液は口腔から食道までの粘膜、組織を覆う採取しやすいサンプルで患者の状態をよく反映する安定した検体である。近年、癌の発生、進展が体液細菌叢の変化と関連する報告が見られ、唾液細菌叢の変化とも関連があることが示唆されている。また口腔から咽頭、喉頭、食道癌患者の唾液内の発現遺伝子変化も報告されている。これまで口腔癌患者の唾液、癌組織を健常者や前癌状態の白板症患者と比較した細菌叢変化を次世代シークエンスにて解析し、さらには網羅的遺伝子発現解析をマイクロアレイにて行ってきた。 まずは病態を観察しやすく、唾液の影響を受けやすいと考えられ、さらには白板症という明確な前癌状態を有する口腔癌について、有癌患者、白板症患者と健常者の唾液細菌叢を比較検討してきた。健常者10例、口腔癌患者16例、白板症14例の唾液DNAを次世代シークエンス解析することにより癌症例の唾液でRothia属、Streptococcus属が有意に減少しSolobacterium属が有意に増加していることを見出し研究グループ内で周知した。また、癌患者の唾液では健常者や白板症患者と比較し有意にFusobacteriumが多く認められることが判明した。 採取した唾液組織にてそれぞれの群での網羅的遺伝子発現解析をマイクロアレイにて行うと、口腔癌では、組織、唾液ともにCCL20遺伝子が高発現しFusobacteriumの割合が異常高値であることを確認した。さらには、特に唾液検体で顕著であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔白板症患者と癌患者での唾液発現遺伝子と細菌叢変化を検討するための唾液検体を集積している。口腔癌症例についての集積は順調であるが、前がん状態である白板症患者の唾液検体の集積が不十分であり現在、検体採取を急いでいる。また、食道癌、咽頭・喉頭がん患者での検体の集積も行いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
白板症患者の唾液検体が集積でき次第、唾液遺伝子発現のアレイ解析と唾液細菌叢変化の検討のための細菌叢次世代シークエンス解析を行い、癌患者検体との比較解析を行っていく方針である。
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Causes of Carryover |
口腔白板症患者と癌患者での唾液発現遺伝子と細菌叢変化を検討するための唾液検体を集積しているが、口腔癌症例についての集積は順調であるが、前がん状態である白板症患者の唾液検体の集積が不十分でありそのため経費を執行できず次年度使用額が生じた。現在、検体採取を急いでおり、検体が採取出来次第、DNA,RNAの抽出を行い、発現遺伝子アレイ解析と細菌叢変化を検討するための次世代シークエンス解析を行う。
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Research Products
(2 results)