2022 Fiscal Year Research-status Report
シングル細胞・遺伝子発現解析による臓器移植後免疫寛容機序の解明
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21K08634
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 祐司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10364556)
中川 美和 (森田美和) 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 客員教授 (90329699)
藤野 真之 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究員 (50392329)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 肝臓移植 / CyTOF / scRNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器移植後の拒絶反応及び免疫寛容の誘導とその機序の解明は極めて重要である。マウス同種肝臓移植モデルにおいては、移植後拒絶反応の退縮・収束を経過して、自然的に寛容状態が誘導され、免疫抑制剤使用しないで拒絶反応、免疫寛容を解析する可能であり、そのユニークなモデルを用いて、今年度は、我々が肝移植後7、14、40日目に移植ドナー肝臓から非実質細胞を精製分離した後、シングルセル遺伝子発現解析による臓器移植後拒絶反応及び免疫寛容状態情報の構築することを試みた。48,727個の細胞から、合計20個の細胞クラスターが同定された。我々は、移植拒絶と寛容における免疫細胞の役割を明らかにすることに焦点を当て解析を行なった。その結果、移植肝臓のT細胞は、移植後7、14日目細胞傷害性T細胞であること及びサイトカイン分泌においてより活発であることがわかった。一方、時間の経過とともに、T細胞は徐々に疲弊していくこともわかった。疲弊したCD8陽性T細胞クラスターには、よく知られた共刺激分子CD86が発現しているが示された。この現象に着目し、さらにこの細胞集団の疲弊関連遺伝子等解析を進めている。一方、急性拒絶反応時に単球や炎症性マクロファージが大量に増加することも発見した。以上の所見をFACSにて解析し、確認した。現在は、細胞傷害性T細胞のサブタイプや機能を詳細に解析し、拒絶反応及び免疫寛容のメカニズムの解明とその検証を進めている。この研究が、臓器移植免疫の研究に新たな発見をもたらすと信じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、マウス肝臓移植モデルの樹立・確認を行った上、CyTOFを用いて解析を行った。今年度はその結果を踏まえ、さらに、シングルセル遺伝子発現解析による臓器移植後拒絶反応及び免疫寛容状態情報の構築することを試みた。概ね研究計画通りで、研究を順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通りで、CyTOF、scRNA-seq解析で得られた所見を着目し、興味ある細胞集団の関連遺伝子等解析を進める。一方、以上の所見をFACSにて解析・確認し、細胞傷害性T細胞のサブタイプや機能を詳細に解析し、拒絶反応及び免疫寛容のメカニズムの解明とその検証を進めたい。
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Causes of Carryover |
分担研究者の施設で、研究用消耗品の発注は間に合わなかったため、助成金が残った。翌年度の予算として、使用計画に組み込む予定である。
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Research Products
(4 results)