2023 Fiscal Year Research-status Report
シングル細胞・遺伝子発現解析による臓器移植後免疫寛容機序の解明
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21K08634
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 祐司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10364556)
中川 美和 (森田美和) 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 客員教授 (90329699)
藤野 真之 国立感染症研究所, 安全実験管理部, 主任研究官 (50392329)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 肝臓移植 / CyTOF / scRNA-seq / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器移植後の拒絶反応及び免疫寛容の誘導とその機序の解明は極めて重要である。マウス同種肝臓移植モデルにおいては、移植後拒絶反応の退縮・収束を経過して、自然的に寛容状態が誘導され、免疫抑制剤使用しないで拒絶反応、免疫寛容を解析する可能である。今年度は、今までの成果を踏まえて、移植免疫に対して、表と裏の関係にある腫瘍免疫におけるCD8/CD86陽性T細胞の意義について検討を行った。マウスメラノーマ腫瘍担癌モデルにおいて、CD86高発現CD8 T細胞は腫瘍およびマウス脾臓腫瘍内に存在したが、ナイーブマウスには存在しなかった。これらの細胞は、CD39やCTLA-4を含む共抑制性レセプターの顕著な発現とともに、IL-10の分泌亢進によって示される制御性表現型を示した。一方、CD8T細胞に特異的CD86を欠失させるマウスを作成し、検証を行ったところ、腫瘍の進行が抑制され、腫瘍特異的T細胞の抗腫瘍能が増強された。このマウスの腫瘍浸潤免疫細胞(TIL)におけるDCの抗原提示能力は、野生型マウスの樹状細胞よりもはるかに高かった。我々はin vitro実験により、IDOとCTLA-4の発現が高くなっていることを明らかにし、この細胞がDC細胞をDCreg細胞に誘導することにより、免疫調節機能を完成させている可能性を示した。このように、CD86高発現CD8T細胞はTME (Tumor Microenvironment)において極めて重要な制御的役割を担っていることを示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いままでは、マウス肝臓移植モデルの樹立・確認を行った上、CyTOFを用いて解析を行った。また、その結果を踏まえ、シングルセル遺伝子発現解析による臓器移植後拒絶反応及び免疫寛容状態情報の構築することを試みた。今年度は、マウス腫瘍担癌モデルを用い、または機能分子の欠損マウスを作成し、FACSにて解析・確認し、細胞傷害性T細胞のサブタイプや機能を詳細に解析し、移植・腫瘍免疫反応及び寛容のメカニズムの解明とその検証を行った。以上、概ね研究計画通りで、研究を順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通りで、CyTOF、scRNA-seq解析で得られた所見を着目し、興味ある細胞集団の関連遺伝子等解析を進める。一方、以上の所見を移植・腫瘍モデルを用い、また、機能分子の欠損マウスを作成し、FACSにて解析・確認し、細胞傷害性T細胞のサブタイプや機能を詳細に解析し、移植・腫瘍免疫反応及び寛容のメカニズムの解明とその検証を進めたい。
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Causes of Carryover |
分担研究者の施設で、研究用消耗品の発注は間に合わなかったため、助成金が残った。翌年度の予算として、使用計画に組み込む予定である。
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Research Products
(3 results)