2021 Fiscal Year Research-status Report
3次元血管化膵組織による1型糖尿病に対する新規膵島移植治療の開発
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21K08643
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高市 翔平 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (30804877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 省吾 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30452436)
富丸 慶人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70528570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵島移植 / 皮下移植 / 再生医療 / 交互積層法 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病患者に対する根治療法として、膵β細胞補充療法である膵島移植が施行されているものの、ドナー不足が膵島移植治療の制限の1つとなっている。これに対し、細胞ソースとして多能性幹細胞由来β細胞を使用し、その安全な移植部位である皮下への移植により、この問題を克服できる可能性があるが、皮下は組織生着に必要な血流に乏しいことが課題として残されている。本研究は、LbL法を用いて細胞の積層化を可能にする技術を利用して、血管化組織を構築し、血流が乏しいという問題点を克服し得る1型糖尿病に対する新規皮下移植法を開発することを目的とした。その結果は、in vitro実験では、血管化組織において、インスリン遺伝子発現およびインスリン分泌量の有意な上昇を認めた。in vivo実験では、非血管化組織群およびコントロール群と比較し、血管化組織群において、随時血糖値およびグルコース負荷試験での血糖値の有意な低下を認めた。また、血管化組織群では、移植組織片の摘出後に随時血糖値の再上昇を認めた。摘出した組織の免疫組織化学染色では、血管化組織群で、移植後1日目および28日目において、単位スフェロイド当たりのインスリン陽性細胞の占める面積が有意に広く、加えてグラフト内血管数を多く認めた。また由来血管の評価を行い、血管化組織内でレシピエント由来血管が経時的に増加することを確認し、さらにはグラフト由来血管と吻合する所見を認めた。以上より、LbL法を用いて開発した血管化組織の皮下移植により、糖尿病化マウスの血糖値の改善を認め、1型糖尿病に対する治療効果を認めた。その機序としてレシピエント由来の血管新生が考えられた。本手法は、1型糖尿病患者に対する新規皮下移植法の開発に有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro実験では、非血管化組織との比較により、血管化組織におけるインスリン遺伝子およびインスリン分泌量の上昇を認め、当初の目標通り、その評価を達成することができた。in vivo実験では、血管化組織の糖尿病化免疫不全マウスへの皮下移植を行い、非血管化組織との比較により、その有効性を評価することができた。その結果は、非血管化組織移植群に比較し、血管化組織移植群で有意にモデルマウスの血糖値の低下を認めた。しかし、血糖値の正常化には至らなかった。これに対し、今後の研究の推進方策で記載するように、更なる検討が必要であると考えられる。以上より進捗状況はおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo実験において、LbL法により作成した血管化組織の1型糖尿病に対する一定の治療効果を認めたが、その効果を更に上げることが今後の課題である。その課題に対し、血管化組織の有効性の更なる検証について、①hiPS β-cell細胞数の違いによる治療効果の評価②間質細胞として共培養に用いる細胞種の検討③血管化組織のインスリン分泌能における分子メカニズムの解明が必要であると考える。
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Causes of Carryover |
コロナが終息をしない状況で、研究・実験の進捗が遅れているため
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Research Products
(1 results)