2022 Fiscal Year Research-status Report
肺がんにおける癌関連遺伝子MYNNとp53の相互制御機構の解明
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21K08668
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30335624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堺 明子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60205698) [Withdrawn]
大内田 守 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80213635)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MYNN / myoneurin / p53 / microRNA / Lung cancer |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は、マウス尾静脈接種実験を行いMYNN過剰発現細胞において肺への癌細胞の浸潤および定着が亢進すること、MYNN発現抑制細胞おいて浸潤および定着が抑制されることを発見した。p53の活性化によりMYNNタンパク質量が減少すること、逆にMYNNを過剰発現させることでp53およびp21が減少することを確認した。MYNN抗体を用いたクロマチン免疫沈降 (ChIP)では、MYNNがp21を含めいくつかのp53標的遺伝子の調節領域に結合することを発見した。 p53の過剰発現に伴いMYNN mRNAは僅かながら減少がみられたため、MYNNの調節領域・遺伝子領域に存在するp53レスポンスエレメント (p53RE)を同定した。それらp53RE配列を用いてルシフェラーゼレポーターアッセイを行った結果、コントロールと比較しても有意差は確認されなかったが、再検証を行う。また、p53活性化に伴い発現誘導されるmicroRNA (miRNA)をMYNN mRNA-3’UTR上に同定したことから、p53活性化後にmiRNAの発現亢進とMYNNタンパク質発現低下を検証した。miRNA発現にともないMYNNタンパク質の減少が確認されたことから、p53はmiRNAを介してMYNNの発現調節をしていることが明らかとなった。ルシフェラーゼおよびGFPレポーターアッセイを用いたmiRNAの機能解析においてもMYNN-3'UTR内の配列が標的配列になっていることが証明された。またMYNN過剰発現細胞株とコントロール細胞株のRNA-SEQ解析では、MYNNがPI3Kを介する幾つかの反応経路に関与していることが示唆されたため、引き続き解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種発現ベクターの構築が順調にp53によるMYNNの発現調節機構の各検証実験を完了している。MYNN高発現細胞株を作成に成功したので、MYNNに よるp53発現調節機構の検証を進めている。またMYNN存在下・非存在下のRNA-SEQ解析からMYNNが関与する反応経路および発現変動の確認された遺伝子を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
MYNNの過剰発現によるp53タンパク質レベルの減少がp53のユビキチン修飾によるものかウェスタンブロット法で確認する。細胞内でのp53分解メカニズムには、 E3リガーゼであるMDM2が重要な役割を果たしているため、MYNNとMDM2との相互作用を検証する。またp53タンパク質の安定化と活性化は、ARFがp53とMDM2の会合 を阻害することにより誘導されるため、過剰発現したMYNNがARFを抑制することも考えられる。このため、MYNNによるARFのmRNAの発現低下・MYNNがARFと結合す ることによる機能阻害を検証する。RNA-SEQの結果から標的対象となる遺伝子とMYNNの相互作用を検証していく。
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Causes of Carryover |
クローニング等を共通試薬を使ったこと、クローニングが順調に進んだため塩基配列確認のシーケンス反応や共同実験室の使用が少なくすることができたことで 次年度使用額が生じた。 翌年分として請求した助成金は予定した検証実験に用いる。繰り越した助成金分はMYNNとp53の共通標的遺伝子同定のためのSequential ChIP-seqの費用に使用する予定である。
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