2021 Fiscal Year Research-status Report
タモキシフェン耐性乳がんを標的とした新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K08670
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 陵宇 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (10625510)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳がん / ホルモン療法 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホルモン受容体であるエストロゲン受容体(以下、ER受容体とする。)が陽性のLuminal症例では、ERに依存したがん細胞の増殖を抑制するために、タモキシフェンなどの抗エストロゲン薬やアロマターゼ阻害薬を使用したホルモン療法が用いられる。ホルモン療法の問題点の1つに長期間(5-10年)の投与による耐性化が挙げられ、予後不良の要因として考えられている。タモキシフェン耐性が獲得される機序として、ER受容体の発現亢進や活性化に伴い、タモキシフェン投与下であってもER依存的な細胞増殖が誘導されることが報告されている。一方で、一部のLuminal症例においてはER受容体の陽性率が10%以下であり、ホルモン療法の有効性は十分に検討されていない。また、ER受容体の発現が低下しているがん細胞がどのような性質を示すのかも明らかにされていない。 本研究ではER受容体の発現が低下した細胞集団がどのような性状を有するかを解析するとともに、ホルモン療法耐性乳がんの新たな治療標的分子を探索することを目的として研究を進めた。 初年度ではタモキシフェンの添加に応じて変動する遺伝子群の探索を行なった。ER受容体陽性乳がん細胞株であるMCF7において膜タンパク質であるCEACAM6の発現がタモキシフェン添加に応じて亢進したことから、CEACAM6陽性細胞と陰性細胞をセルソーターにより分取しRNAシークエンスを行なった。その結果、CEACAM6陽性細胞で特異的変動する遺伝子群の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って、タモキシフェン耐性に関わる分子の探索を行い、次世代シークエンサーによる解析にも着手できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ER受容体の発現が低下した細胞集団を単離し、再度RNAシークエンスを行う。また、これにより、CEACAM6陽性細胞とER受容体陰性細胞においてその性状を比較する。これにより、ホルモン療法に耐性を示す細胞集団の本態を明らかにする予定である。また、上記2つの細胞集団のうち、より悪性化に関与する細胞集団を対象として、特異的に発現亢進が観察された遺伝子に絞り機能解析も進める。これにより、タモキシフェン耐性症例に対する新たな治療標的分子の同定を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスのため学会参加がWEBでの参加になり、その分の経費を試薬代に使用した。そのため、次年度使用額が生じた。次年度使用額も試薬の購入あてる予定である。
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Research Products
(3 results)