2022 Fiscal Year Research-status Report
EBV関連胃癌におけるエピゲノム異常によるARID1A遺伝子の発現制御機序の解明
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21K08675
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90611749)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EBV関連胃癌 / エピゲノム異常 / ARID1A遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
EBV関連胃癌におけるDNAプロモーターメチル化の状態をパブリックデータベースであるGEO(Gene Expression Omnibus)に登録されたメチレーションアレイデータを用いて解析をいおこなった。アレイデータと同じくダウンロードした臨床病理学的因子を合わせて解析をおこなった結果、EBV関連胃癌はEBV陰性胃癌と比べて非常に多くの遺伝子のプロモーターが高メチル化状態、つまり、遺伝子発現がなされていない状態であることがわかった。実際に細胞実験で検討したところ、EBV感染陽性MKN7胃癌細胞は非感染コントロール細胞と比べて、高メチル化状態であることが確認された。これらの結果から、EBV感染自体が細胞内の数多くの遺伝子のプロモーター高メチル化を促すことが確認され、EBV関連胃癌のエピゲノム異常の特徴を捉えることができた。次に、これらの解析データからARID1A遺伝子に着目したところ、EBV関連胃癌とEBV感染陽性胃癌細胞株においてARID1Aプロモーターは高メチル化されてないことがわかった。同じサンプルにおける、ARID1A mRNAの発現解析をマイクロアレイ(GSE31787)でおこなうと、EBV感染に伴うARID1A mRNA発現の影響は認められなかった。つまり、EBV関連胃癌におけるARID1Aタンパクの発現低下は、ARID1A遺伝子の転写の段階ではなく、翻訳後の段階でおこることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に用いるマイクロアレイデータをGEOデータベースからダウンロードして、EBV関連胃癌におけるDNAメチル化状態の解析ができた。また、EBV関連胃癌における遺伝子発現のマイクロアレイもGEOデータベースからダウンロードして、メチル化データと合わせての解析をおこなえた。
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Strategy for Future Research Activity |
In silico解析結果の検証のために自施設で手術切除された胃癌検体をメチレーションアレイとmRNA発現アレイにかけて解析する。また、翻訳語修飾の重要な因子であるマイクロRNAに着目することとし、EBV関連胃癌におけるEBVマイクロRNA発現のマイクロアレイデータをGEOデータベースで探してダウンロードし、解析をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
データベース解析を主とした解析研究がいままでは主であったため、次年度使用額が生じた。今年度以降は細胞実験やマイクロアレイ解析研究を進める予定であり、いずれも高額な費用が発生するため、本研究費を用いる予定である。
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