2021 Fiscal Year Research-status Report
膵液活性を緩衝し膵液漏の重症化を回避する新規組織癒着材の開発
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21K08681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石沢 武彰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10422312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 大知 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50447421)
長谷川 潔 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20292906)
長田 梨比人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00815706)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵液漏 / 膵切除 / 蛍光イメージング / 手術合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、「結紮糸などの医療材料および生体材料に障害を及ぼす膵液中の成分および腹水との反応性の解明」に取り組んだ。 まず、各種の結紮糸(絹糸、吸収性編み糸、吸収性単糸)に、膵切除術後患者から採取した膵液、膵液+trypsin、および膵液構成成分の試薬(amylase, lipase, phospholipase, chymotrypsin, carboxypeptidase)を作用させ、抗張力と電子顕微鏡観察による構造変化を観察した。結果、特に合成吸収糸(編糸)に膵液を作用させると表面構造が顕著に変化し、2週間で抗張力が約1/2に低下することが確認された。絹糸の抗張力・構造変化は軽微であった。 一方、膵切除後患者10例から得られた膵液および腹水サンプルに、384種の蛋白分解酵素同定用蛍光プローブ、40種の脂質代謝同定用蛍光プローブを作用させ、有症状膵液漏の発生と相関するプローブのスクリーニングを実施した。蛋白分解酵素活性同定用プローブは腹水との反応性が高く、膵液描出に最適なプローブの選択は困難であったが、重症例に共通するプローブ構造が確認された。脂質代謝解析用プローブは単独で膵液特異性を示す化合物が同定された。現在、標的酵素の同定を進めている。 膵液漏の蛍光イメージングに関しては、推定される漏出機序に対応した針糸を考案し、11例の膵切除(膵体尾部切除 5例、低侵襲手術を含む膵頭十二指腸切除 6例)で膵断端の閉鎖や再建に利用した。現在、手術法と成績(ISGPS grade Bの膵液漏 2名)に関する英語論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵液漏の有症状化を回避する医療材料を開発するための基礎データが集まりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
医療材料や生体に障害を及ぼす膵液中の成分および腹水との反応性を解明する。その上で、特定の成分の活性を低減させる、または特定の成分から生体を防御する高分子化合物をデザインする。
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Research Products
(1 results)