2022 Fiscal Year Research-status Report
癌微小環境由来の食道癌転移抑制シグナル制御機構の解明による治療への応用
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21K08693
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
橋本 貴史 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折茂 彰 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (70275866)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食道癌 / PDXモデル / オルガノイド / CAFs / 転移抑制シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
癌死亡の90%は転移に起因し、食道癌の転移・再発は原発巣の外科的な切除後2年以内に多発する。その理由として申請者は、原発巣が未知の転移抑制シグナルで転移巣増殖を制御しており、原発巣切除の結果、抑制シグナル消失・転移発症を促進するという仮説を立てた。このとき、その証明の鍵要素として、高転移性癌で癌間質を主に構成している線維芽細胞「CAFs: carcinoma-associated fibroblasts」に申請者は着目し研究を進めている。 本研究では食道癌におけるPatient-Derived Xenograft (PDX)モデルを樹立し、これを用いて原発巣由来の転移抑制シグナルを同定、CAFsによる転移抑制シグナル阻害機構を解明する。研究分担者が先行研究にて患者大腸癌に係る転移形成の検証に成功した、PDXモデル樹立の経験を活かす。本モデルにてCAFsと食道癌細胞の相互作用を媒介する遺伝子やシグナルを解析し、これらが癌微小環境に及ぼす影響を検証、新規転移抑制治療の基礎を確立する。
申請者らは手術により摘出された残存膵癌より線維芽細胞の樹立を試みた。現在まで51例中43例において、癌部よりCAFs、コントロールとして非癌部より対照線維芽細胞の樹立に成功した。上皮細胞、間葉系細胞や血球系細胞に特異的な抗体を使用した免疫組織染色を施行し純度の高い線維芽細胞が樹立されていることが確認された。また、RNA-sequencingにより非癌部由来の対照線維芽細胞と比較して、CAFsにおいて有意に発現が亢進している遺伝子が複数同定された。さらに食道癌癌部よりオルガノイドの樹立を試み10例で成功した。2,3例のオルガノイドを高度免疫不全マウスに移植し癌の形成能を検討したが、癌増殖が非常に遅く、移植後2カ月以内に癌を形成することはなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10例以上の食道癌症例よりオルガノイドやCAFsの樹立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
原発巣由来の転移抑制シグナルを同定する為に、研究室で長期培養後に株化された悪性度の高い細胞株は使用せずに、患者由来のオルガノイドを使用した食道癌PDXモデルを樹立したい。しかしながら、2,3例のオルガノイドを高度免疫不全マウスの皮下に移植し癌の形成能を検討したが、癌増殖が非常に遅く、移植後2カ月以内に癌を形成することはなかった。今後は、移植時のマトリゲル量を50%から100%にすると共に、他のオルガノイドも検討する。また、6-12か月後に癌の形成が見られた場合は、PDXより癌オルガノイドを樹立し実験に用いることも検討したい。
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Causes of Carryover |
細胞増殖の遅延の関係で予定していた試薬を購入しなかった故。
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Research Products
(1 results)