2022 Fiscal Year Research-status Report
膵癌個別化治療を目指したHOXB9によるEMT誘導と血管新生亢進について
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21K08694
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
千葉 斉一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (90348665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HOXB9 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は消化器癌のなかで最も治療成績の悪い癌腫の一つで、切除率も低く、他の癌腫の様に分子標的治療薬の効果も乏しい癌である。現在までの研究成果により、転写因子HOXB9が上皮間質移行(Epitherial-Mesenchymal Transition; EMT)や血管新生亢進を通じて癌の転移や浸潤に関わる因子であることが示されると同時に、乳癌・大腸癌・肝細胞癌における有意な予後因子であることが示唆されている。以上の知見をもとに、膵癌におけるHOXB9発現によるEMTや血管新生亢進のメカニズムを明らかにし、膵癌の浸潤・転移の詳細な機構を解明することを目的とした。また、それらの知見から膵癌に対する新たな分子標的治療薬の選択の可能性を広げ、個別化治療に対するバイオマーカーの臨床応用確立を目指し、本研究を立案した。 これまでに、siHoxB9をHoxB9高発現膵癌細胞株に導入し細胞形態の変化やMigration/Invasion Assayにおける細胞浸潤能、遊走能の変化、ErbB経路の変化を確認できた。また、上記メカニズムを詳細に解明するため、HoxB9高発現細胞株にTGFb抗体を添加し同様の変化が起こるか検討すると同時に、siSmad4(TGFb経路下流の阻害作用を持つ)を導入し、同様の変化が起こることを検討した。 膵癌細胞株とshHoxB9を導入した膵癌細胞株を皮下注した担癌免疫不全マウスにおける腫瘍増殖速度、腫瘍の経時的変化、転移の有無や個数を比較検討し、同時に担癌マウスに対してSutentやAvstinなどの血管新生因子阻害剤を投与し腫瘍抑制効果や転移抑制効果を比較検討する。また担癌マウスから腫瘍を切除し腫瘍細胞中の血管新生因子を比較検討している。また膵癌切除検体よりRNAを抽出し、得られたRNAからqrtPCR法を用いてHoxB9の発現量とEMTマーカーや血管新生因子、TGFb signature、ErbB family因子とを比較検討を同時進行で行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Invitroの実験系が比較的順調に行われた結果、Invivoや臨床検体を用いた実験へスムーズに移行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のInvivoの実験と共に、臨床検体の実験を並行して進行する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じているが、進行状況によっては本年度に前倒しを申請する予定である。
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