2021 Fiscal Year Research-status Report
Biomarker research using two prospective studies on preoperative and postoperative adjuvant therapy for pancreatic cancer
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21K08700
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
上坂 克彦 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20283434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 啓一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (10399587)
岡村 行泰 日本大学, 医学部, 教授 (10704489)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は治療成績が最も悪い固形癌であるが、近年の周術期化学療法の進歩により、切除後の5年生存率が40%を超える時代を迎えている。膵癌のさらなる治療成績向上のためには、個々の患者・腫瘍の特徴に応じて最適な治療を選択する個別化治療の確立が必須である。膵癌に対する個別化治療を可能とするためには、治療効果を予測する鋭敏なパイオマーカーが必要であるが、実用段階に達しているものはない。 本研究の主目的は、2つの前向き多施設共同臨床試験(JASPAC01、JASPAC04)のデータおよび附随する試料を活用し、切除可能膵癌において、最適な化学療法薬剤の選択につながる治療効果予測パイオマーカーを同定することである。また副次目的として、化学療法・放射線治療によって遺伝子変化が生ずるのかを検討する。 現在、JASPAC01におけるS-1群の早期再発例、GEM群の長期生存例の検体を用いて網羅的遺伝子解析を行い、S-1、GEMの薬剤感受性予測バイオマーカーとなりうる遺伝子を探索中である。また、JASPAC 04の参加施設から、免疫染色および核酸抽出に用いるための薄切スライドを収集する手配を行っている。 今後、JASPAC 04検体を用いて術前化学療法を開始する前に把握可能な治療効果予測因子を解析し、これらをJASPAC01検体と比較することで、術前治療によりmRNA発現量、および蛋白発現量が変化するかを明らかにする予定である。また、原発巣及び再発巣を切除した20例の検体を用いて、mRNA発現量解析、免疫組織化学染色を行い、再発巣における蛋白発現変化が生ずるかを明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
別の研究ですでに集積したJASPAC 01検体では、予後良好とされるStage IA及びIBの25例中8例に早期再発を認め、これらを予後不良群として抽出した(術後補助療法としてS-1が4例、GEMが4例に投与された)。また、予後不良とされるStage IIB 209例中41例が無再発例であったため、これらのうちS-1群から4例、GEM群から4例を各々抽出し(予後良好群)、計16例を検討対象とした。別の研究で作成済みのcDNAを使用し、TaqMan Open Array Human Cancer Panelを用いた癌関連遺伝子の網羅的遺伝子解析を行い、mRNA発現量に差を認める遺伝子を現在検討中である。また、JASPAC 04研究に登録された103症例中、試料の外部提供に関してIRBの承認が得られた施設から、免疫染色および核酸抽出に用いるための薄切スライドを収集する手配を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Tissue microarray (TMA)は、JASPAC 01検体326例中103例で構築されており、新規予後予測因子として抽出された上位10遺伝子について免疫染色を行い、追伝子発現と生存成績との相関性を解析する。また予後関連遺伝子を認めた場合(P<0.1を目安に)、223例のvalidation setでの免疫染色に進み、新規予後予測バイオマーカーとなるかを検証する。 JASPAC 04検体におけるにおける測定因子候補は、JASPAC 01付随研究でバイオマーカー候補として解析した22遺伝子のうち有望な12遺伝子(SLC29A1, TP53, DPYD, TYMS, EGFR, CDKN2A/p16, SMAD4/DPD4, SPARC, RRMl, UMPS, HuR, E2F7)を対象とするが、上記Cancer Panel解析でバイオマーカー候補が得られた場合、検討対象として追加する。JASPAC 01に付随するバイオマーカー研究では、FFPE 1検体あたり1μg、OD260/280の純度指標では、1.9程度の品質でRNAが採取されており、JASPAC 04検体においても同様の手順で行う。免疫染色は、JASPAC 01検体を用いた付随研究ですでに条件設定は終了しており、同条件で染色を行う。免疫組織染色の判定については各抗体で染色された腫瘍細胞の染色強度および陽性占拠率をJASPAC 01組織外の研究協力者である病理専門家が中央判定し、スコア化する。 原発巣及び再発巣が切除された20例に関して、核酸の抽出、mRNA発現解析を上記と同様の手順で行う。原発巣と再発巣との間で遺伝子発現の比較検討を行い、膵癌の進化モデル、化学療法の影響について検討する。mRNA発現量の測定結果から薬剤感受性・予後予測に有用な遺伝子に対し、免疫染色を行う。
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Causes of Carryover |
令和3年度に、JASPAC 01検体を用いて新規予後予測バイオマーカーを検討するための網羅的遺伝子解析を行う予定であったが、現在まだ検討中のため未使用額が生じた。このため、網羅的遺伝子解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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