2021 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌のリンパ節転移における細網線維芽細胞の意義と機能解析
Project/Area Number |
21K08707
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前平 博充 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30564918)
飯田 洋也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (30733901)
竹林 克士 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70452240)
三宅 亨 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70581924)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リンパ節転移 / 細網線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌治療において転移は制御すべき最大の課題であり、癌患者における死因は90%が遠隔転移である。多くの癌腫でリンパ節転移は最も初期に認められる転移であり、強い予後規定因子である。胃癌、大腸癌など消化器癌において重要な予後規定因子であり、リンパ節転移の制御により癌患者の予後の改善が期待される。 リンパ節は異物や細菌に対し特異的な免疫応答が行われる最初の場である。リンパ節に存在する間葉系細胞である細網線維芽細胞(Fibroblastic reticular cell :FRC)は傍皮質領域における3次元の骨格形成を担い、IL7やCCL19を介してT細胞の恒常性を維持し、感染防御において重要な役割をもつことが報告されている。一方で、FRCがどのように癌の悪化や癌免疫に関与するかは明らかではない。 癌細胞の転移は上皮間葉移行(EMT)や血管内浸潤、colonizationなど多段階に制御されている。また、血管細胞、免疫細胞や線維芽細胞などで構成される癌微小環境も癌の浸潤・転移に重要な因子である。我々はこれまでに膵癌を含む消化器癌の進展、再発に対する基礎的かつ臨床的な検討を行ってきた。原発巣での癌先進部における線維化が癌の進展、転移に重要な役割を果たしていることは知られている。我々はヒト大腸癌の転移リンパ節において、間質の線維化が予後不良因子であり、転移リンパ節の間質で増殖した細胞の多くがFibroblastic reticular cell (FRC)であることを報告した。FRCは感染防御に重要な役割を果たしていることが知られているが、癌転移リンパ節における役割についてはほとんど明らかではない。 本研究はリンパ節に特異的に存在する間葉系細胞であるFRCに着目し、ヒト及びマウスから採取したFRC、また、リンパ節転移モデルなどを用いて、FRCによる癌悪性化の機序を遺伝子、細胞、個体レベルの多方面から包括的に検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体を用いて、癌部やリンパ節から間葉系細胞の培養を行っている。抗菌薬などを用いているが真菌によるコンタミネーションが多く、やや難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスや臨床検体から培養から採取した細胞細胞を用いて、癌細胞と共培養を行うことで癌悪性化(proliferationやmigration、EMT変化など)の差異について検討する予定である。 また、リンパ節由来間葉系細胞と原発巣由来間葉系細胞について遺伝子発現、間葉系マーカーの蛋白発現などを検討する予定である。 さらに臨床検体における発現についても解析し、予後や臨床情報との関連についても検討する。
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Causes of Carryover |
臨床検体を用いた培養において真菌のコンタミネーションなどがあり、難渋した。 コロナにより臨床業務が増大、また、物品の不足などがあり、実験計画が遅延した。
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