2021 Fiscal Year Research-status Report
Building a training system of laparoscopic anatomical staining by intrahepatic portal vein puncture using a newly developed instrument for laparoscopic ultrasound probe
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21K08719
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大塚 由一郎 東邦大学, 医学部, 准教授 (70287499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 悠子 東邦大学, 医学部, 助教 (80516211)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腹腔鏡下肝切除術 / 系統的肝切除術 / 門脈還流領域同定 / 肝内門脈穿刺染色法 / 超音波ガイド下肝内門脈穿刺術 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、肝疾患に対する腹腔鏡下手術の進歩は目覚ましく、肝癌の根治的治療を行ううえで重要な腹腔鏡下系統的肝切除も施行されるようになった。系統的肝切除を行う際、担癌領域の肝内門脈枝を超音波下で穿刺し、色素を注入することで出現した変色域から肝の解剖学的な区域あるいは亜区域としての還流領域を同定する肝内門脈穿刺染色法が用いられており、開腹術においてその手技は確立されている。 しかしながら、本手技を腹腔鏡下にて行う場合、体表の穿刺点から気腹による腹腔内を経由するため,超音波下とはいえ経肝的に目標門脈枝を穿刺することは、これまで技術的に困難であると考えられてきた。そこで我々は、本手技を開腹術と同様に行うべく、腹腔鏡超音波用穿刺ガイド器具を開発した。我々は腹腔鏡下での肝内門脈穿刺を開腹術と同様に行うために、日本メディカルネクスト社(大阪)とともに新たな超音波用穿刺ガイド器具を共同開発した。本器具により,安定した手技で目標門脈を穿刺でき,より正確な腹腔鏡下肝系統的切除を行うことが可能となる。 本研究の目的は、新開発穿刺ガイド器具の有用性を検証するとともに、多くの外科医が腹腔鏡下での肝内門脈穿刺手技を獲得できるドライボックスを用いたトレーニングシステムを開発することである。難易度が極めて高い腹腔鏡下肝内門脈穿刺手技を本システムによって誰もが正確に獲得できれば、動物を用いたトレーニングの代替となるうえ、獲得された手技は直ちに臨床応用でき、腹腔鏡下肝切除の技術発展に大きく貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度では、腹腔鏡下肝内門脈穿刺トレーニングモデルの作成およびシステムの確立を目指した。我々が開発したラパロプローブ用ガイドを用い、穿刺用肝臓モデルを用いた腹腔鏡手術トレーニングシステムを作成した。内視鏡外科手術用トレーニングボックス(以下ボックス)は、ラパロプローブ用ガイドの差込や、腹壁からガイドへ向けた針穿刺のトレーニングに適すよう、ルーフにはどこからでも穿刺可能なマットを使用した。ボックス内に肝臓ファントムを設置し,トロッカーよりラパロプローブを挿入後、ラパロプローブガイドを装着し、内視鏡下にボックス外よりPTCD針にて目標門脈枝を穿刺できるシステムを確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降は、腹腔鏡下肝内門脈穿刺トレーニングにより適した肝臓モデルを作成する。肝臓モデルは超音波透過性のファントムを用い、ヒトと同様の大きさと解剖学的な臓器内脈管を植物由来ゲルを用いて3Dプリンターで構築し、肝臓を穿刺した際の硬度・弾性がヒトの場合と同等となるよう成分を調整する。特に肝臓モデルの血管部分は穿刺した際に実際の感触により近い素材を探求する。 さらに、本システムが腹腔鏡下での肝内門脈穿刺技術の獲得に有用であるかどうかを検証する。まず、臨床において開腹下あるいは腹腔鏡下肝切除術で超音波ガイド下に門脈穿刺を施行した研究分担者を含む経験のない被検者(外科医)20名を対象に穿刺の方法の説明を行う。次にトレーニングシステムを用いて超音波ガイド下に穿刺実験を行うが、ラパロプローブ用ガイドを用いる群(使用群:10名)と用いない群(未使用群:10名)に分ける。穿刺部位はファントム内の企図した門脈枝とし、被検者は10回ずつ穿刺を行う。穿刺の成功は針先が門脈茎の正中をとらえられた場合とする。針のボックスルーフからの引き抜きや方向の変更は1回と算定する。穿刺10回中に成功した回数、成功するまでに要した穿刺回数、穿刺に要した時間を記録する。ガイド使用・未使用群の比較では、成功回数の比較には割合の差の検定、成功までの穿刺回数の比較はカイ二乗検定、穿刺に要した時間はt検定もしくはウィルコクソン検定を使用する。また両群のラーニングカーブを算出し比較解析することで、ラパロプローブ用ガイドおよびトレーニングシステムの有用性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究結果の保存および解析に必要なコンピューターの納期に遅延が生じたため未使用額が生じた。 次年度以降は、まず肝内門脈穿刺に適した超音波透過性ファントムによる肝臓モデルの開発のため費用を使用する。さらに研究成果の保存と解析、発表および論文化のために費用を使用する。
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