2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the mechanism of cholangiocarcinoma progression based on intertissue crosstalk
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21K08732
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増井 俊彦 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20452352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 和之 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (30567871)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胆管癌 / ドパミン / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管癌と神経組織は親和性が高いことから、何らかのニューロトランスミッターが胆管癌の悪性度に関与していることを想定される。本研究ではニューロトランスミッターと胆管癌の関係を明らかにすることを目的とした。そのなかで、ニューロトランスミッターの一つであるドパミンに着目し、そのレセプターの発現と進展への影響を、細胞株オルガノイドおよびヒト胆管癌組織由来オルガノイドを用いて検討した。本年度は、まず細胞株由来のオルガノイドを作成したところ、5種類あるドパミン受容体のうち、足場非依存性を特徴とする幹細胞性と関与する受容体がD1受容体であることが明らかとなった。また、この細胞株から作成したオルガノイドでは、D1受容体拮抗薬およびノックダウンにて足場非依存性を特徴とする幹細胞性が増加することが明らかとなった。さらに、ヒト胆管癌組織からオルガノイドを3株作成し、D1受容体拮抗薬を用いたところ、やはり足場非依存性を特徴とする幹細胞性が増加し、ヒトの胆管細胞癌でも同様のメカニズムが存在することが示唆された。さらに、神経近傍とそれ以外でのマウスゼノグラフトモデルを、コントロール群とD1受容体ノックアウト群を用いて検討すると、ニューロトランスミッターとしてドパミンの分泌されている神経周囲ではノックアウトと関係なく腫瘍を形成した一方、神経周囲以外の皮下腫瘍作成モデルではノックアウト群のみでのみ腫瘍形成を認め、ノックアウト群での外部ドパミン非依存性の腫瘍形成能が示唆され、in vivoでもD1シグナル阻害にて幹細胞性が増加していることが明らかとなった。また、脾注肝転移モデルを作成しても同様にD1受容体ノックアウト群でのみ肝転移が認められ、幹細胞性の一種である転移形成にも関与している可能性が明らかとすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的1について、上記、胆管癌からのドパミン分泌を明らかにすることができ、さらにD1受容体を介した外部ドパミン非依存性の幹細胞メカニズムが新たに発見され、順調に進んでいると考えられる。ドパミン制御は複雑で、ドパミン受容体阻害によりドパミン分泌が上昇することが知られていること、また、フェノタイプは有意に認められるにもかかわらず全体としてはインパクトが小さなフェノタイプにとどまっている原因として、heterogeneityのある胆管癌を全体として評価している可能性が高いことが考えられた。今後、さらに胆管癌細胞間の関係を検討する必要があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、胆管癌の腫瘍内のドパミンシグナルにおけるheterogeneityに着目し、シングルセル解析を行い、胆管癌内の腫瘍細胞個々の働きを解析する。これにより胆管癌におけるドパミンシグナルの幹細胞性に関与するメカニズムの解明、さらに化学療法への抵抗性などを明らかとし、治療薬につながる研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
シングルセルアナリシスを行った費用が次年度にずれ込んだたため、大幅な使用額の次年度への移行が必要となった。 次年度以降は、シングルセルアナリシスによりドパミン受容体と幹細胞性の関係を細胞内の不均一性の観点から解明し、幹細胞性に関与する因子を同定する予定である。
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