2021 Fiscal Year Research-status Report
Oncological significance of vagotomy in upper gastrointestinal surgery
Project/Area Number |
21K08740
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
細谷 好則 自治医科大学, 医学部, 教授 (30275698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
堀江 久永 自治医科大学, 医学部, 教授 (20316532)
佐田友 藍 自治医科大学, 医学部, 助教 (40528585)
齋藤 心 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60382909)
倉科 憲太郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70382900)
宮戸 秀世 自治医科大学, 医学部, 講師 (90813163)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 迷走神経 / 腹膜播種 / 肝転移 / がん免疫微小環境 / 腹腔内マクロファージ / 大網 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.マウス迷走神経切離モデルの作成:8-10週齢のマウスを全身麻酔下に開腹。実体顕微鏡下に横隔膜下で迷走神経を切離するとともに幽門形成術(迷走神経切離群)を行う。Sham operation群では迷走神経は受動、確認のみ行い、幽門形成術(迷走神経温存群)を行う手技を習熟した。
2. C57/Bl6マウスに同種胃癌細胞YTN16Pを腹腔内投与し、2週間後に腹腔内洗浄液を回収し、特異的モノクロナル抗体で染色後フローサイトメトリーでCD11b陽性マクロファージの表現型を評価すると、CD11b+, F4/80 high, MHC classⅡ(-)の表現型を示す組織常在型マクロファージ細胞集団が消失しており、CD11b+, F4/80mid-high, MHC classⅡ highの表現型を示す細胞集団が増加し、健常なマウスが示す腹腔内マクロファージの表現型と大きく異なっていた。また、迷走神経切離術施行後2週間時点では脾臓中のTregが低下し、腹腔内の組織常在型マクロファージにおけるF4/80の発現レベルが低下しており、それらが回復するのに術後3週を要した。また、術後3週時点でYTN16Pを腹腔内投与すると、2週後の腸間膜の播種数には有意な差は認めなかったが、大網の播種数はsham operation群と比較して迷走神経切離群において有意に増加し、腹腔内のマクロファージについては担癌状態でも増加していた。
3.C57/Bl6マウスの脾臓にYTN16を注入し、肝転移巣を形成させることを繰り返して、in vivo selectionにより、高頻度に肝転移を起こすマウス胃がん細胞株YTN16Hを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実体顕微鏡下にマウスの迷走神経切離術、幽門形成術を行う手技を確立し、迷走神経シグナルが、脾臓内のT細胞や腹腔内マクロファージの表現型に影響を与える事実がin vivo で確認できた。また、迷走神経切除が腹膜播種の成立、とくに大網上への播種の形成に影響を与えるというpreliminaryな結果が得られた。また、迷走神経シグナルが肝転移に及ぼす影響をin vivoで検討するための細胞株を樹立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 腹膜播種を形成した状態では、腹腔内マクロファージの表現型が大きく異なることから、F4/80mid-high, MHC classⅡhighマクロファージが、組織由来のLarge peritoneal macrophage (LPM)と骨髄由来のsmall peritoneal macrophage (SPM)のどちらに由来するのかを調査するため、PKH26PCLを用いてあらかじめLPMを蛍光染色しておき、数日後にYTN16Pを接種、その2週間後の腹膜播種を形成した時点でF4/80mid-high, MHC classⅡhighマクロファージにおけるPKH26PCLの染色を確認する。また、播種組織の凍結切片を作成し、免疫染色を行い、腹膜播種の形成過程でSPMとLPMの性質がどの様に変化し、腹膜播種成立をきたすかを解明することを目指す。過去の報告では、マウスの大網においてレチノイン酸が産生されLPMの分化を制御すること、迷走神経シグナルはマウス腸管のCX3CR1+マクロファージにおけるレチノイン酸産生を制御することが示されている。このことから、迷走神経シグナルは大網におけるレチノイン酸産生およびLPMの分化に関与している可能性が考えられるため、その経路に焦点を絞って検討する。
2.マウスの迷走神経切離術を施行し、YTN16Hを脾臓内に注入し、肝転移の成立の変化を検討する。また、その組織内の免疫細胞を組織染色、flowcytometryで検討し、その免疫学的機序を解明する。
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Causes of Carryover |
迷走神経切除術の技術習得のためにマウス30~40匹を予定していたが、数匹で技術を獲得できたため予定より少ない執行となった。コロナ禍のため学会がオンライン開催となり、旅費は執行せず、次年度以降の物品費として使用することにする。
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[Presentation] The mechanistic analysis of peritoneal dissemination using mouse syngenic gastric cancer cells.2021
Author(s)
Yurie Futoh, Hideyo Miyato, Yuki Kaneko, Kohei Tamura, Kazuya Takahashi, Yuki Kimura, Akira Saito, Mineyuki Tojo, Yuko Kumagai, Hiedyuki Ohzawa, Yoshinori Hosoya, Joji Kitayama, Naohiro Sata
Organizer
自治医科大学シンポジウム2021
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