2022 Fiscal Year Research-status Report
New therapeutic methods by variability control of pancreatic cancer cells
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21K08744
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
志智 優樹 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20887187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 紀彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80639063)
石渡 俊行 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (90203041)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵臓がん / がん幹細胞 / スフェア / SEM / E-cadherin / Vimentin / プロテオーム解析 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの不均一性(Heterogeneity)は遺伝子変異が異なる腫瘍だけでなく、同じ遺伝子変異を有する腫瘍細胞にもみられる。これを腫瘍内不均一性(Intra-tumor heterogeneity)といい、がん幹細胞の存在がよく知られているが、周囲の環境に合わせて形態や機能を変化させるがん細胞も存在する。本研究では、ヒト膵がん培養細胞株における形態的および機能的変化の可変性(Variability)に着目し、異なる特徴を示す膵がん細胞を同期させることで、抗がん剤の治療効果の増強や転移抑制を目的とする。 私たちは従来の二次元培養と比較し、三次元培養で作製したスフェアでは、各細胞株の形態的・機能的特徴が明瞭になることを明らかにした。E-cadherinが高値でVimentinが低値な上皮系の特徴を有する細胞株では、細胞間の接着が強い小型のスフェアを形成し、E-cadherinが低値でVimentinが高値な間葉系の特徴を示す細胞株では、ブドウの房状の大型のスフェアを形成した。また上皮系細胞株と間葉系細胞株では、効果的な抗がん剤が異なる。三次元培養による立体構築は、生体内の腫瘍を再現するものであり、スフェアを用いた更なる解析が新規治療法の開発につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私たちは従来の二次元培養によるヒト膵がん培養細胞と比較して、三次元培養により作製した培地中の浮遊細胞塊のスフェアでは、形態的・機能的特徴がより明瞭になることを報告し、ヒト膵がん培養細胞の中には上皮系細胞株(E-cadherin高値/Vimentin低値)と間葉系細胞株(E-cadherin低値/Vimentin高値)が存在することを示した。これらの間葉系細胞株は粘液産生能を有してなかったが、上皮系細胞株では粘液産生を認め、さらに3次元培養を行うことで粘液産生能が増強されることを報告した。 スフェアのタイムラプス解析では、上皮系細胞株が早期に表面が接着した平滑なスフェアを形成するのに対し、間葉系細胞株の大半は面積がそれほど変わらず、個々の細胞が密集したスフェアを形成した。一方、スフェアの接着・遊走能に関しては上皮系細胞株がシート状に拡がるのに対し、間葉系細胞株は個々の細胞が放射状に拡散した。
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Strategy for Future Research Activity |
接着状態で培養した膵がん培養細胞株と、それらのスフェアのプロテオーム解析のデータが得られており、これらを比較検討することで上皮系細胞株と間葉系細胞株のスフェアの特徴を解明する予定である。接着細胞とスフェアの詳細な形態観察のために、SCREEN社製のCell3iMager duos2を用いて面積や真円度などを測定し、膵がん培養細胞株の形態と機能の関係を明らかにする。 また、選択的スプライシングを調節することで上皮系アイソフォームの発現を誘導するESRP1遺伝子を、間葉系膵がん培養細胞株に発現させた。現在、当細胞株のスクリーニングを行っており、今後、ESRP1発現株に対する抗がん剤への効果を検証する。
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Causes of Carryover |
想定より消耗品費が削減できた。学会へのオンライン参加により旅費が削減できた。
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Research Products
(11 results)