2021 Fiscal Year Research-status Report
切除可能進行胃癌患者に対する術前化学療法における免疫活性バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
21K08752
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松田 佳子 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50457082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
鈴木 知志 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (30457080)
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80535427)
山田 康太 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (50884087)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胃癌 / 術前化学療法 / 腫瘍免疫微小環境 / 免疫応答性細胞死 / T細胞 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
切除可能進行胃癌においては術前化学療法による予後の改善が期待されているが、手術前に化学療法の効果を予測することは困難でバイオマーカーの開発は急務である。近年免疫療法だけでなく従来の抗がん剤によっても腫瘍組織における免疫活性が誘導されることが示唆されており、腫瘍内微小環境における免疫活性の変化は治療効果の予測因子となる可能性がある。本研究では、術前化学療法を行った進行胃癌症例の生検、手術検体で、免疫応答誘導性細胞死によって変動する特異的免疫細胞誘導因子の候補を抽出する。さらに、前向きに集積した進行胃癌症例の組織および血液検体を用いて抽出した因子のバイオマーカーとしての有用性を検証する。 本研究は神戸大学食道胃腸外科で術前治療を行った進行胃癌患者を対象として行う。まず既存の組織検体や胃癌細胞株を用いて腫瘍内微小環境(TIME)における免疫活性を評価し、バイオマーカーの候補となる因子を探索する。並行して前向きに術前化学療法症例の集積を行い、後ろ向き研究で得られたバイオマーカーの候補を治療効果予測因子としての有用性を検証する。進行胃癌に対して術前治療が行われた症例を対象とする。生検/手術組織のFFPE検体において、主として免疫組織染色などで腫瘍内微小環境の定量化(TIMEパラメータ)を行う。.胃癌細胞株を用いて、PCR, ELISAなどで特異的免疫細胞誘導因子の候補を絞り込み、TIMEパラメータとの相関性を解析する。新たに術前化学療法を施行する症例において、生検/手術検体、血液検体を集積する。凍結組織および血液検体からmRNA, タンパクを抽出し、上記研究で得られた特異的免疫誘導因子候補とTIMEパラメータに関して臨床的検査としての有用性を検証する。また、予後を含めた臨床情報により、治療効果を予測するバイオマーカーとなるか検証する。対照として手術単独治療症例の検体も集積する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに進行胃癌に関して、化学療法後に手術を行った症例の集積は一定数行われており、豊富な症例の切除標本に関して標本の解析を行なっている。まず、TIMEパラメータに関しては、評価系が確立しており、CD8+T細胞の誘導の可能性を示すデータが蓄積されている。さらに、詳細な解析としてレジデントメモリーT細胞に注目した二重染色による解析を開始しており、この点に関する成果を得ている。一方で、特異的免疫誘導因子の候補を腫瘍組織より得るために、パラフィン切片よりRNA抽出を試みていたが、安定した成果は得られず、現在のところ、対象となるアクチンの検出に成功したのみで、肝心お標的のRNA検出には成功していない。また、前向き研究に関しては、現在のところ、術前化学療法症例が十分でなく、今後の症例集積が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進策としては、特異的免疫誘導因子に関しては、RNA抽出による検出と定量化は困難であると考え、切除標本における免疫染色による検出と定量化を検討する方針転換が必要であると思われる。また、これらの特異的免疫誘導因子として、公共データを利用して、候補者を検討することとする。また、TIMEパラメータに関しては、二重染色の成果が安定してきたが、客観性と迅速性を同時に実現することは非常に難しいと考えられた。しかし、当教室が共同研究開発を行なっている、組織多重染色に対するAI いメージサイトメトリーの活用を行いて、切除標本を評価することで、データの蓄積と解析を迅速化したいと考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染の蔓延に伴う実験の制限で、進捗状況が遅れた。試薬を注文した際にも、海外からの取り寄せに制限がかかり、かなりの時間を要するために、実験が遅延する結果となった。このため、今年度は、昨年度分の計画をそのまま遂行し、出来るだけ成果につなげたいと考える。抗体の取得が容易となっており、多重免疫染色とAIベースのイメージングサイトメトトリーによる解析を中心に据えることにした。
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