2022 Fiscal Year Research-status Report
膵癌発癌と浸潤転移能獲得機構における低分子G蛋白Ralの機能解析
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21K08791
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大塚 英郎 東北大学, 大学病院, 講師 (50451563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 久徳 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90291426)
石田 晶玄 東北大学, 大学病院, 助教 (90619660)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Ral / 膵癌 / ATM / gemcitabine |
Outline of Annual Research Achievements |
Ral(Ras like) GTPase(以下,Ral)は,Ras familyに属する低分子量GTP結合蛋白であるが,その活性化因子RalGEFはRasの標的分子であり,RalはRasの下流で活性化し機能する.Rasが高頻度に変異し,Driver遺伝子とされる膵癌では,その下流で機能するRalが悪性化に重要であると示唆される.これまでに我々は、RalGAP発現を抑制し、Ralの活性化した膵癌細胞で腫瘍の増殖能,浸潤・転移能が著明に亢進することを明らかにした.本研究ではRalGAP cKOマウス等を駆使して膵癌の悪性化,浸潤・転移能の獲得機序を分子レベルで解明するとともに,ヒト検体の解析よりRal-RalGAPの臨床的意義を明らかにし,膵癌治療における新たな標的分子としての可能性を検証することを目的とする。 他方、Ralの活性は、放射線などによるDNA障害時の修復機構(DDR)において重要であるとの報告が散見される。すなわち、膵癌などの放射線治療抵抗性の癌腫では、放射線照射後の修復機構、癌細胞の生存にRalの活性化が深く関与するとされる。我々は、DNA損傷時のDDR機構、特に、Ataxia telangiectasia mutated(ATM)分子に着目し、その膵癌での役割、Ralとの関与について新知見を得た。これまでに、ATMの発現低下が、膵癌の悪性化,浸潤・転移能の獲得に関与すること、抗がん剤感受性が低下し、術後生存期間が短くなることが示された。今後、放射線感受性、抗がん剤感受性における、ATMおよびRalの機能解析について、より詳細な検討を行うことで、Ral-RalGAPの臨床的意義を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、予定していたRalGAP cKOマウスを用いたRalの機能解析については、膵臓特異的にRalGAPβをknockoutするConditional KO mouse (Ptf1a-Cre, RalGAPβ floxed/floxedおよびPDX-1-Cre, RalGAPβfloxed/floxed)を作成し、そのphenotypeの解析をおこなったが、膵臓の形成、その機能に明らかな異常は認められず、RalGAPの膵臓における機能解析については十分に進んでいない。 他方、ATMについて、ATM発現抑制細胞でRNA Sequencing法により変動する遺伝子の網羅的解析を行なった。解析結果より、癌関連遺伝子MET、Netrin-1(NTN1)を候補遺伝子として同定した。さらに、Western blot法およびRT-PCR法により、METとNTN1の発現がATM発現抑制細胞で有意に増加していることを確認した。現在、METを介した、ATMとRalの相互作用について解析を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していたRalGAP cKOマウスを用いたRalの機能解析について、上述のように膵臓の形成、その機能に明らかな異常は認められず、RalGAPの膵臓における機能解析を行うことができなかった。 今後は、DNA損傷の修復過程におけるRalの機能より、膵癌におけるATMとRalの相互作用について、より詳細な検討を行なっていくことを計画している。 また、ATMについて、その膵癌における発現が、治療成績、生命予後と強く相関することが示されており、ATMの治療、薬剤抵抗性における関与について、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が無いため、記入しない。
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