2021 Fiscal Year Research-status Report
胆管癌の浸潤転移能獲得におけるS100A10の機能解明と治療戦略への展開
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21K08795
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小嶋 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (80345743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 敏一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60212023)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | S100A10 / 転移浸潤 / 細胞遊走 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管癌におけるS100A10の発現抑制が、細胞骨格の異常とこれに起因する細胞遊走能の低下を導くことを先行研究において見出している。また、S100A10の発現が、細胞骨格のなかでも特に中間径フィラメント蛋白質ビメンチンの発現と相関することを明らかにしている。ビメンチンは、転移浸潤を促進することが指摘されている上皮間葉転換での間葉系細胞マーカーであり、癌細胞において間葉系遊走能獲得に重要であると考えられている。本年度での研究では、S100A10の機能阻害剤が胆管癌の細胞遊走能に与える影響を検討した。AnnexinA2は、S100A10と複合体を形成し、その細胞膜局在に寄与する。そこで、両者間の結合を阻害する低分子化合物A2ti-1の胆管癌由来細胞株HuCCT1へ投与した。その結果、用量依存的に細胞遊走能が低下することが明らかとなった。この時、S100A10ノックアウト細胞と同様に、ビメンチンの発現低下とアクチン骨格の異常を観察した。また、S100A10に対するポリクローナル抗体を同細胞培養液中に投与したところ、有意に細胞遊走能が低下した。興味深いことに、ビメンチンの発現やアクチン骨格への影響は軽微であった。S100A10-AnnexinA2複合体は、細胞内のみならず細胞表面にも存在することを合わせて考慮すると、抗体が細胞表面のS100A10に作用し細胞遊走を阻害している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発現抑制による阻害のみならず、低分子化合物や抗体によるS100A10の機能阻害が、胆管癌の細胞遊走抑制に繋がる可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸癌細胞株の盲腸―肝転移マウスモデルを適用して、S100A10に対する阻害低分子化合物や抗体の効果を検証する。また、S100A10反応性ナノボディのスクリーニングを行い、高親和性阻害分子の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度に転移マウスモデル系を開始する予定であり、マウス購入と外科的手術のための解剖機器、縫合器購入に利用する。
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Research Products
(3 results)