2022 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変マウスを用いたLrig1による癌幹細胞維持機構の解明
Project/Area Number |
21K08797
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牧野 俊一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (60745446)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥崎 大介 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (00346131)
高橋 秀和 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (10528508)
山本 浩文 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30322184)
横山 雄起 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60615714)
小泉 雅彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90186594)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Lrig1 / 放射線 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管上皮の基底部から+4ポジションに位置するLrig1陽性の細胞は正常腸管の幹細胞性維持に重要であり、EGFRを負に制御して癌抑制的に働くと報告されている。一方、癌幹細胞におけるLrig1の機能は不明な点が多い。今回、Lrig1-GFPマウスを用いて化学発癌させたマウス大腸癌におけるLrig1発現の意義を明らかにすることを目的とした。2021年度は、免疫染色を施行し、ヒト大腸組織の正常部では陰窩が一部染まり、大腸癌組織で上皮細胞にLrig1の蛋白発現が確認された。大腸癌患者186例の原発巣より抽出したmRNAを用いてqRT-PCRによりLrig1発現量を測定した。その結果、Lrig1高発現群の無再発生存率が不良であることが分かった。 Lrig1-GFPマウスを用いた検討ではLrig1 発現の陽性コントロールとなる小脳皮質でGFPが強発現していた。このマウスにAOM (アゾキシメタン) の腹腔内投与とDSS (デキストラン硫酸ナトリウム) の自由飲水により大腸癌を作成し、腫瘍を蛍光顕微鏡で観察したところ大腸癌細胞の一部にGFP陽性細胞を確認した。2022年度には、10種類の癌細胞株での遺伝子発現をウエスタンブロットとフローサイトメーターで測定し、高発現株3株を特定した。siRNAによってノックダウン実験を行っているが、結果はsiRNAの種類によって齟齬があるため、再検して確認を要する。Lrig1-GFPマウスの大腸早期癌をLrig1抗体で免疫染色を行ったところ、 Lrig1は腫瘍の基底部の癌細胞に発現し、EGFRはその少し表層側に染色されており両者は排他的な発現パターンを示した。GFPマウス腫瘍をGentleMax (Miltenyi Biotec) でばらしてシングルセルRNAseqを行った結果、Lrig1遺伝子発現と細胞単位で相関を示す遺伝子が5つ抽出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床サンプルの解析、Lrig1-GFP マウスの大腸化学発癌、腫瘍細胞のシングルセル回収と遺伝子増幅を終えた。シークエンスの結果、各細胞から増幅された遺伝子読み取りのリード数やTape stationによるquality checkについてもクリアできていることがわかり、種々の解析に向かうことができる。以上から進捗は順調であるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
シングルセル遺伝子解析の手法は複数あり、今後は解析のエキスパートに協力してもらい、新たな発見を重ねてゆく。同時にこれまでに同定したいくつかのLrig1関連遺伝子については幹細胞性との関連について検討を進めてゆく。また放射線や抗癌剤暴露後にLrig1発現細胞が、activeな幹細胞を示すようになるのかどうかは興味深い点であり明らかにしたい。
|