2021 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナルに基づく新たな直腸癌化学放射線免疫複合療法の試み
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21K08798
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古出 隆大 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (40795415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 満 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30379359)
松田 武 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (30782734)
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80535427)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直腸癌 / Wntシグナル / 化学放射線療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ヒト直腸癌術前化学放射線療法(NACRT)におけるWntシグナル活性と腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の免疫組織解析を行った。当初は、深層学習アルゴリズムを用いて解析予定であったが、アルゴリズムの学習・構築に想定以上の症例数と時間を要したため、通常通り手作業でβ-カテニン等の発現解析を行った。また、各症例の予後との関連性も比較検討した。 NACRT直腸癌生検組織における免疫組織学的解析において、β-カテニン発現強度とNACRT奏効度は有意に相関しており、β-カテニン強発現群において、NACRT奏効度は低かった。また、腫瘍学的成績においても、全生存率はβ-カテニン高発現群はその他と比較して有意に予後不良であった。一方、無再発生存率は、各群間で有意差はなかったが、β-カテニン発現最弱群は、他の3群よりも良好な傾向があった。また、腫瘍浸潤リンパ球について解析したところ、NACRT後直腸癌において、CD8+浸潤の程度と組織学的奏効度は高い相関性を示した。また、CD8+の高浸潤群は、低浸潤群と比較して、有意に無再発生存率が良好であった。一方、レジデントメモリーCD8+T細胞の細胞密度は、無再発生存率に寄与しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、ヒト直腸癌NACRTにおける腫瘍浸潤リンパ球(TIL)とWntシグナル活性の免疫組織解析についてはほぼ終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウス大腸癌モデルにおける放射線治療前後の免疫活性化とWntシグナル活性化の動態解析を、病理組織学的解析、flow cytometry、次世代シーケンサー(NGS)による遺伝子発現解析およびエピゲノム解析で行う。 また、これまでの結果をもとにNACRTによる免疫活性化において変動するWntシグナル関連分子を腫瘍組織内で測定し、使用可能なバイオマーカー候補を同定する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、マウス大腸がんモデルにおけるTILとWntシグナルの動態解析までを予定していたが、人工知能アルゴリズム構築に時間を要し、マウスモデルへの移行がやや遅れてしまったため。 人工知能による解析から人力による解析に移行するが、次年度は、引き続き人工知能アルゴリズム構築を試みるとともに、マウスを用いた研究にも着手していく。
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