2022 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞がん多段階発がんにおけるWNTパスウェイ活性化メカニズムの解明
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21K08807
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
緑川 泰 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 総合外科部, 部長 (10292905)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / WNTパスウェイ / ベータカテニン / E-カドヘリン / 細胞悪性度 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに行ったシーケンスによる8種類の肝がん細胞株についてベータカテニンの遺伝子異常については以下の通りである。 ベータカテニンmut:HepG2, Hep3B, PLC/PRF/5, HLE ベータカテニンWT: Huh7, SH-Hep1 CDH1を強制発現させるために現在まで以下の実験を遂行している。すなわちCDH1の転写領域全長(2,807bp)をpCDH-EF1-T2A-Puro(レンチウィルスベクター)にサブクローニングした。さらに上記のベータカテニンmut の各細胞株にトランスフェクションすることによりE-カドヘリンの発現を誘導し、48時間後に免疫染色によりE-カドヘリンの細胞膜への局在でトランスフェクションの効率については判定した。CDH1発現によるベータカテニンの核への移行の影響についても、免疫染色によりトランスフェクション前後の細胞株を比較検討を行い、高い高率でトランスフェクションが行われていることを確認した。 CTNNB1 mut過剰発現についてもベータカテニンmutを有する細胞株HepG2よりCTNNB1の全長(3,488bp)をサブクローニングした後、トランスフェクションは上記の方法でベータカテニンWT細胞株に行った。さらにこれらのDNA導入した細胞株についてsiRNAによりCDH1をノックダウンすることによりカテニンの核への移行を確認する予定である。 上記で作成した肝がん細胞について、今年度中にRNAシーケンスによりWNT下流遺伝子の発現レベルの 化、WNTパスウェイの活性化を確認する予定である。さらに、上記で作成した細胞株についてそれぞれカドヘリン発現の有無で細胞 殖能、細胞遊走能、細胞浸潤能などを比較し、肝がん細胞の 性化について比較検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 2022年度についての進捗 況は概ね研究計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度で作成したベクター 細胞株について、2023年度以降の実験に使用可能であるかどうかについての確認を今年度に確認した。今後は臨床検体を用いた次世代シーケンサーの結果について、そのメカニズムを解明する実験を行ってゆく。すなわち、ベータカテニンの変異に加えてE-カドヘリン変異というセカンドヒットが必要であるかどうか、さらに実際にWNT 路の活性化が起こることにより細胞の悪性度が加わり進行度の遅い早期肝がんから 悪性度の高い進行肝癌へと移行してゆくかどうかについての実験をおこない、in vitroと実際の生体内で起きている肝がん進展のメカニズムの解明を行うとともに、その研究課程で明らかになるゲノム 化に着目して新規の肝がんに する分子標的治療へと繋げてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ流行の影響で学会の出張や論文作成にかかる費用の一部が余ったため。これらの研究費は最終的に成果の発表に使用する予定である。
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