2023 Fiscal Year Research-status Report
腹部大動脈瘤患者における次世代シークエンサーを用いた瘤壁中の腸内細菌の網羅的解析
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21K08815
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田島 悠太 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90884908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 均 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00400333)
濱中 洋平 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (10463788)
赤松 大二朗 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40420012)
阿部 高明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80292209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 腹部大動脈瘤 / 口腔内細菌 / メタゲノム解析 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹部大動脈瘤は破裂を来すと致死的な疾患であるが、成因が明らかではないため薬物などの内科的治療法や予防法が存在せず、拡大した際に死亡リスクを伴う手術を行うしかない。多くの腹部大動脈瘤患者は動脈硬化性疾患を有し、病理学的にも瘤壁に動脈硬化所見を認めることが多いが、壁の破壊と瘤化のメカニズムは不明である。近年、メタゲノム解析・メタトランスクリプトーム解析の発達により腸内細菌叢の同定が詳細に可能となり、マウスにおいて腸内細菌と腹部大動脈瘤拡大の関連性が示されているが、ヒトでの検討はなされておらず、動脈瘤壁内での腸内細菌の検出報告も少ない。腹部大動脈瘤患者の大動脈瘤壁を採取し腸内細菌を網羅的に検出し、腸内細菌叢との関連性を調べることで、大動脈瘤の成因を明らかにし、プロバイオティクスや抗生物質などの非手術治療や一次予防の一助とする事を目的として本研究を申請した。 現時点で目標としている50症例のうち36症例の検体採取が終わり順次解析を行っている。大動脈瘤患者においては健常人と比して有意にBifidobacterium, Blautia, Anaerostipesが減少し、一方でRoseburiaが減少していることが明らかになった。また呼気中の代謝産物においてもCysS-HPE-AM, CysSS-HPE-AM, GS-HPE-AM, GSS-HPE-AMといった硫黄代謝産物が有意に減少していることが確認された。現在動脈瘤壁と口腔内検体、血清と尿の解析を進めており、解析結果が出そろった段階で、それぞれのサンプルから出た差異の意味を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプルの収集と解析は計画通りに進行しており、今後は予定数に達するまで検体採取を進め順次解析を行っていく予定である。現在、腸内細菌叢と呼気の代謝産物については腹部大動脈瘤患者と健常人との間に差を認めているが、全サンプルがそろった後に相互の関連を推測していく予定のため、現時点では研究の結論は出ていない。
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Causes of Carryover |
データが完全に揃っていないため、学会発表や論文作成に至らなかった分、使用した金額が予定と異なった。
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