2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト羊膜の抗炎症・抗菌作用に着目した抗感染性人工血管の作成
Project/Area Number |
21K08834
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中西 渉 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50636024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸子台 和哲 東北大学, 大学病院, 講師 (50581641)
菅原 宏文 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (60451572)
赤松 大二朗 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40420012)
齋藤 昌利 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00451584)
星合 哲郎 東北大学, 大学病院, 講師 (10569560)
宮城 重人 東北大学, 大学病院, 准教授 (00420042)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗感染性人工血管 / ヒト羊膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸部・腹部大動脈瘤などの血管疾患に対し、人工血管を用いた血行再建術の有用性は確立され、血管外科領域の多くの手術において臨床使用されている。一方で、人工血管は人体にとって異物であることから一度感染を起こすと難治性であり、術後死亡に直結する重篤な合併症となることから、その予防が極めて重要である。大網や筋皮弁などの患者本人の体内組織を用いた人工血管被覆が感染予防法として実施されているが、これらを使用できないことも少なくなく、感染抵抗性の生体材料を用いた抗感染性人工血管を作成できれば血行再建術の成績をさらに安定化することができる。ヒト羊膜はコラーゲンやラミニンなどのタンパクの層から成る組織と1層の羊膜上皮細胞で構成される半透明の膜であり、廃棄される段階の分娩後胎盤から安価に採取することができる。抗炎症作用や血管新生促進作用、多分化能などとともに、抗菌作用を有することが基礎研究で示されており、眼科領域では羊膜移植がすでに保険診療として実施されている。本研究では、ヒト羊膜を用いた抗感染性人工血管の作成を目的として、小動物人工血管置換モデルと腹膜炎モデルを用いてヒト羊膜の人工血管感染予防効果を検証することを目的としている。本研究に必要なヒト羊膜の採取に関しては、倫理委員会での承認も得られ、産科を始めとする関係部署との協力体制は確立することができている。また、小動物人工血管置換モデルの作成についても、動物実験施設における実験実施体制を含め準備が整っている段階にある。一方で、腹膜炎モデルに関しては、局所に感染を起こしつつ、安定した全身状態を維持することが現時点では確立できておらず、今後の課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腹膜炎モデルの作成に想定よりも時間がかかっていることにより、必要な検証が行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
本検証に必要な実験モデルを速やかに確立することにより、ヒト羊膜の人工血管感染に対する予防効果を検証していく。
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Causes of Carryover |
本研究の検証に必要な実験モデルの確立ができておらず、このため検証のための実験動物や検査キットに必要な費用がかからなかったため次年度使用額が生じた。実験モデルを確立後、実験動物や検査キットの購入に使用する予定である。
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