2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding the mechanism why cardiac myocytes resist Myc-induced proliferation
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21K08854
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小山 恭平 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00818479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙谷 寛之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30436836)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋再生 / 細胞分裂 / Myc / エピジェネティクス / 転写調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓はガン化しない臓器として知られているように、心筋組織の細胞(心筋細胞)はほとんど分裂することがないため、心臓は自己再生能力も持っていない。この原因の解明は、再生治療とガン克服の重要なカギとなる。我々はこれまでに、心筋細胞の分裂を妨げる一因として、ヒストン修飾H3K9me3が関与することを発見した。本研究では心臓の再生治療を目的として、H3K9me3が細胞分裂に必要な遺伝子の機能を妨げているメカニズムを解明し、H3K9me3を標的として心臓の再生が可能かどうかを明らかにする。 これまでに、心筋細胞の遺伝子発現とその制御におけるH3K9me3の役割を明らかにするために、RNA-seq解析およびオープンクロマチン解析を行った。H3K9me3を消去した心筋細胞では、G2/M期に関連した遺伝子の発現上昇が認められるが、プロモーター領域のaccessibilityに違いが無いことを明らかにした。一方で、遺伝子領域外にある繰り返し配列において転写が上昇し、クロマチンへのaccessibilityも上昇していることを明らかにした。これらの変化が下流の遺伝子発現に影響しているというデータが得られており、今後は遺伝子領域外の転写活性化がどのように下流の遺伝子発現に影響しているか、この変化が心筋細胞の分裂に影響しているかどうか検討を進める。 上記に加え、H3K9me3の調節因子としてTrim28に注目している。Trim28の機能解析を行うために、心筋細胞特異的なTrim28ノックアウト(KO)マウスを作成した。また、ガン原遺伝子であるMycを、アデノ随伴ウイルスを用いて心筋細胞で発現させるモデルを確立した。これらのモデルを用いて、今年度はH3K9me3とTrim28がMyc誘導の細胞周期活性化にどのようなメカニズムで抵抗性を示すのか解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにマウスモデルの確立が終えることが出来、次の解析に進む準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
H3K9me3の消去で活性化させる遺伝子領域外の転写が、下流遺伝子の発現に与える影響を解析する。また、昨年度作成したTrim28KOマウスの解析を進める。並行してTrim28/H3K9me3の有無が、Mycによる細胞周期遺伝子の活性化に影響するかどうか解析を行う。
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Causes of Carryover |
KOマウスは作成できたが交配が予定より遅れている。計画していた解析を次年度に行うため、予算を繰り越すことにした。
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