2022 Fiscal Year Research-status Report
Understanding the mechanism why cardiac myocytes resist Myc-induced proliferation
Project/Area Number |
21K08854
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小山 恭平 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00818479)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙谷 寛之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30436836)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 心筋再生 / 細胞分裂 / Myc / エピジェネティクス / 転写調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓はガン化しない臓器として知られているように、心筋組織の細胞(心筋細胞)はほとんど分裂することがなく心臓は自己再生能力も持っていない。我々はこれまでに、心筋細胞の分裂を妨げる一因として、ヒストン修飾H3K9me3が関与することを発見した。本研究では心臓の再生治療を目的として、H3K9me3が細胞分裂に必要な遺伝子の機能を妨げているメカニズムを解明し、H3K9me3を標的として心臓の再生が可能かどうかを明らかにする。 クロマチン制御因子のTrim28は、H3K9me3に対するヒストンメチル基転移酵素のSetdb1をリクルートし、転写を抑制する機能を持つ。H3K9me3が心筋細胞分裂を制御するメカニズムにおいて、Trim28が上流因子として機能していると仮説をたて、その機能を解析するため2021年度に心筋細胞特異的Trim28ノックアウト(cTrim28 KO)マウスを作成した。2022年度は、cTrim28 KOマウスの表現型解析を中心的に行った。Trim28のKOにより、心筋細胞で324個の遺伝子で発現変動(226遺伝子で発現上昇、98遺伝子で発現低下)が認められて、GSEA解析から発現上昇した遺伝子はG2/Mチェックポイントの制御に関連することが示唆された。しかし、Trim28のKOにより心臓重量の変化は認められず、心臓の成長には顕著な影響を与えないことが示された。次に、ストレス応答に対する影響を検討するために、cTrim28 KOマウスをベータ受容体刺激薬のイソプロパノール(ISO)で刺激した。ISO刺激したcTrim28 KOマウスでは、コントロールと比較して心臓重量が優位に増加し、Trim28 KOによりISO刺激に対する応答性が変化することが明らかとなった。現在、この変化にH3K9me3や細胞周期遺伝子の発現変化が関与するかどうかを解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に従い、作成したKOマウスの表現型解析を終えた。予想に反した結果となったが、新たな知見も得られている。H3K9me3が心筋細胞の分裂を制御するメカニズムを検討するために、単離心筋細胞でエピゲノム解析の実験手法も整い、データの取得に入っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度に、Trim28のKOによりISO刺激に対する心臓の応答が変化することが明らかとなった。2023年度はこのメカニズムを明らかにするために、ISO刺激に対してTrim28 KOにより発現が変動する遺伝子を同定する。また、ISO刺激によりcTrim28 KOマウスとコントロールで、H3K9me3のエピゲノム状態が異なるかどうかをChIP解析などにより明らかにする。H3K9me3を除去した心筋細胞はMycへの応答性が異なるが、ChIP解析などを用いて、H3K9me3の状態が異なる心筋細胞で、Mycの結合部位が変化するかどうか明らかにする。
|
Causes of Carryover |
作成したノックアウトマウスで、仮説とは異なる結果が得られた。その為、追加の解析を計画しているが、サンプルの採取に時間がかかるため、解析費用を次年度に繰り越した。2023年度の5月にはサンプルの採取が終わり、予定している解析が行える。
|