2022 Fiscal Year Research-status Report
同種異系iPS心筋細胞移植治療に対するiPS間葉系幹細胞を用いた免疫抑制法の開発
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21K08862
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小田 紀子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい准教授 (90373092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 絵望子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (80595629)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | iPS細胞由来間葉系幹細胞 / 免疫抑制 / 免疫系ヒト化マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度にiPS細胞からbFGF依存性分化誘導法によりiPS細胞由来間葉系幹細胞(iMSC)を作製し、典型的なMSCの細胞表面マーカー(CD73、CD90、CD105、CD29、CD44、CD146など)の発現、骨芽細胞・軟骨細胞・脂肪細胞の3系統への分化能を確認した。 本年度はin vitroとin vivoでiMSCの免疫制御作用を検討した。in vitroでは、T細胞活性化と細胞傷害性を評価した。前者は、Carboxyfluorescein Succinimidyl Ester (CFSE) で標識した健常人ドナー由来Tリンパ球を共刺激用抗体(抗CD3抗体および抗CD28抗体)で共刺激し、positive controlである骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)もしくはiMSCと混合比率を変えて培養した結果、BM-MSCと同様にiMSCの容量依存的にTリンパ球の増殖が抑制された。細胞傷害性は、NK細胞(Effector細胞)とCellTrace Violet染色したK562細胞(標的細胞)、BM-MSCもしくはiMSCを混合培養し、標的細胞の細胞死を評価した。BM-MSCと同様にiMSCはEffector細胞による標的細胞への細胞障害性を抑制した。 In vivoでは、他家移植による免疫拒絶反応の抑制を評価した。ヒト末梢血単核球を投与してもgraft-versus host disease(GVHD)が起きにくいとされるMHC class I/II-deficient NOGマウス (NOG-dKO) を用いて免疫系ヒト化マウスを作製し、iPS細胞由来心筋細胞のみの皮下移植に比べてiMSCと同時移植により免疫拒絶反応が抑制され、移植片の生着が延長するかを検証する。現在、免疫系ヒト化マウスを作製するためにNOG-dKOへのPBMCの投与量、投与回数などを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iMSCのin vitroでの免疫制御能の評価は完了したが、in vivoでの評価系(免疫系ヒト化マウス)の作製が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
iMSCの免疫制御能をin vivoで評価するため、MHC class I/II-deficient NOGマウス (NOG-dKO) を用いて免疫系ヒト化マウスを作製し、皮下にiPS細胞由来心筋細胞 (iPS-CMs) のみ、もしくはiMSCとiPS-CMsを同時移植する。iPS-CMsのみに比べてiMSCと同時移植する事により、免疫拒絶反応が抑制されているかを検証するため、移植後の皮下組織でのiPS-CMsの生着率を評価する。MHC class I/II-deficient NOGマウス (NOG-dKO) を用いた免疫系ヒト化マウスの作製が出来ない際は、免疫が正常なラット(Lewラットなど)を用いて同様の検討を行う。
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Causes of Carryover |
MHC class I/II-deficient NOGマウス (NOG-dKO) を用いて免疫系ヒト化マウスの作製に時間を要しており、in vivoの免疫制御能の評価が遅れているため。
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