2022 Fiscal Year Research-status Report
LVAD装着患者におけるヒストン修飾による心機能回復メカニズムの解明
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21K08864
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊東 絵望子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (80595629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 拓史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60839398)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | unloading / ヒストン / H3K9メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症心不全に対する治療法である左室補助人工心臓装着は、左心室の容量・圧負荷の軽減(unloading)により、左室心筋構造および機能回復をもたらすことが分かってきている。しかし、その詳細なメカニズムについては十分に理解されていない。本研究では、LVAD装着によるH3K9メチル化制御機構、および心不全心においてH3K9メチル化による心機能回復をもたらす遺伝子発現制御機構を探索する事を目的としている。そのため、心不全心において、unloadingによりH3K9メチル化が変化するメカニズムの解明を行うため、iPS細胞由来心筋細胞を用いて心筋虚血モデルを作製した。心筋細胞を低酸素下で培養する事により、H3K9のメチル化の発現が低下する傾向が見られた。また、心臓における心筋組織に対する外的力学的作用を検討するため、心筋細胞に伸展刺激を行ったところ、H3K9のメチル化酵素であるSUV39H1の遺伝子発現の発現が亢進し、脱メチル化酵素であるJMJD1A、JMJD2A、JMJD2Dの遺伝子発現の発現が低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心筋梗塞モデルラットの心臓からの心筋細胞を単離して実験に使用する予定をしていたが、単離の条件検討に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
unloadingにより変化するH3K9のメチル化がどのような遺伝子発現を制御しているかを解析する。解析にはクロマチン免疫沈降(Chromatin immunoprecipitation:ChIP)法とハイスループットの大規模並列シーケンシング(次世代シーケンス)を組み合わせたChip-seq法を用い、H3K9メチル化のゲノム上での結合をゲノムワイドかつ網羅的に解析する。具体的には、iPS細胞由来心筋細胞を用いて虚血・再灌流心筋モデルを作製し、細胞培養伸展システム(ストレッチチャンバー)行い、その後に抗H3K9メチル化抗体を用いて免疫沈降を行い、沈降したDNA断片をシーケンサーにて解析し、塩基配列を同定する。
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Causes of Carryover |
当初、心筋梗塞モデルラットの心臓からの心筋細胞を単離して実験に使用する予定をしていたが、伸展刺激の検討を行うのに十分な細胞を確保するのが困難であっため、検討モデルをiPS細胞由来心筋細胞に変更を行った。本年度はin vitroでの細胞のunloading modelを作製しており、まだ解析途中で引き続き実験が必要であるため次年度使用が生じている。
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