2023 Fiscal Year Annual Research Report
急性大動脈解離での肺酸素化障害抑制に向けた水素ガス吸入療法の検討
Project/Area Number |
21K08875
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
河田 光弘 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60431863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 郁朗 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30343586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性大動脈解離Stanford B型 / 水素吸入療法 / 肺酸素化障害 / 急性肺障害 / 心臓血管外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性大動脈解離発症に伴い、全身性炎症反応症候群が起こり、サイトカインストームに至り、急性肺障害・肺酸素化障害を引き起こす。分子状水素(H2)の投与では、多くの非感染性炎症においてサイトカインストームの抑制効果が報告されている。本研究では、保存的治療が主となる急性大動脈解離Stanford B型でのH2ガス吸入療法の確立を目指す。大動脈解離の動物モデルを用いて、H2ガスの最適な投与方法、ガス濃度、投与期間を明らかにする。 次に急性大動脈解離で重篤な合併症が無い患者を対象に、標準的内科治療にH2ガス吸入療法を併用することにより抗炎症作用で肺酸素化障害を軽減、予防できるか検討する。 令和4年度については、急性大動脈解離Stanford B型にともなう肺酸素化障害を予防・軽減する目的で水素ガス吸入療法が新たな治療法として確立できるか探索的に検討する第一段階として安全性を確認している。現在まで、10例の研究参加同意が得られた患者さんについては、全例で、人工呼吸器や、NIPPVを要せずに呼吸状態は安定し、急性期を安定して入院治療を行えて、自宅退院出来ている。現在、historical control data(2020-2021)と比較検討して解析し、入院期間、CRP最高値などは、有意差ない事が確認できた。安全性を確認する試験としては期待できる結果であった。肺酸素化障害については、controlと比較して、抑制で来ている傾向であったが、有意差を示すにはもう少しの症例数がいると考えられた。ただし、水素ガス吸入をした患者さんの退院時の酸素化は改善していた。
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