2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of standard precision diagnosis methodology for lung cancer surgery using respiratory endoscopy technology.
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21K08880
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
中島 崇裕 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20400913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
太田 昌幸 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (40866612)
本橋 新一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60345022)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非小細胞肺がん / radiomics / deep learning / バイオマーカー / 異常メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、肺腺癌におけるリンパ節転移の検出および外科的切除をサポートする予後不良因子検出法の開発を行った。特にspread through air spaces (STAS)はJCOG0802の結果により今後区域切除が標準術式の一つとなった際に、葉切除か区域切除かを判断する重要な指標となることが予想されるため、注目して研究を行っている。 ①AI技術による高悪性度腫瘍予測システムの開発について、CT画像解析および超音波気管支鏡画像解析の2方面からの解析を行った。CT画像解析では肺腺癌において予後不良な組織学的特徴STASを機械学習によってCT画像から予測するシステムを開発している。超音波気管支鏡画像解析では、deep learningによる超音波気管支鏡画像からの転移予測系を構築する研究を行い、動画記録された超音波気管支鏡画像から約5000枚の画像データを抽出し、5分割交差検証およびHoldout法によるリンパ節転移予測モデルについての検証を行った。 ②走査分子計数法による腫瘍細胞検出系では、リンパ節転移に関連するマイクロRNAの検出についてリンパ節生検針洗浄検体を使用し、検体の全処理を簡略化した方法でマイクロRNAの検出が可能であるかについて、リアルタイムPCRによる解析および走査分子係数法による解析を行った。 ③STAS検出を目的とした異常メチル化の検出においては、STASを高頻度に認める組織亜型である微小乳頭型腺癌について、Infiniumアレイによる網羅的DNAメチル化解析を行った。 ④リンパ節におけるマスサイトメトリー解析については、超音波気管支鏡にて採取した検体について、肺癌における解析を目的とした新設計の抗体パネルを作成し、マスサイトメトリーによる解析を追加して行い、このデータを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①CT画像解析においては、縮小手術の対象となる腫瘍径2cm以下の非小細胞肺癌226症例(うち35例にSTASを認める)のCT画像ラジオミクス解析を行い、AUC 0.77でSTAS予測が可能であった。さらにラジオミクス解析でSTAS陽性であったと判定された症例では、縮小手術では予後不良であることが明らかとなった。超音波気管支鏡画像解析では、画像解像度の違いによってdeep learningの結果に影響を与えることが明らかとなったが、異なる解像度画像も含めて機械学習させることで診断精度を保てることが明らかとなり、おおむね正解率80%以上の予測を得ることが可能となっている。 ②リアルタイムPCRと簡略化処理走査分子係数法では定量値に相関を認め、簡略化処理による走査分子係数法でも特定のマイクロRNAが検出可能であることが示された。さらに簡略化走査分子係数法(検査時間75分)をさらに高速化し、検査時間を30分に短縮した高速化走査分子係数法の実現可能性について、簡略化走査分子係数法と比較検討したところ、高速化走査分子係数法は簡略化走査分子係数法と相関を認めた。 ③微小乳頭型腺癌は高メチル化傾向を示し、また腺癌における高メチル化は予後不良因子であることを認めた。メチル化マーカーとしてgene ontology解析を行ったところ、neural systemに関する遺伝子群が抽出された。 ④8症例17リンパ節に対するマスサイトメトリー解析に、超音波気管支鏡検体を追加し、現在解析結果の分析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①AI技術による高悪性度腫瘍予測システムの開発については、STASは組織学的特徴であるが、術前および術中の診断が極めて困難であるとされており、CT画像によるSTAS存在予測は術式決定において極めて重要であるが、これまで検討を行ってきたCT機種が1機種に限定されるため、より普遍的な予測が可能となるようにCT機種を変更して解析を進める予定である。超音波気管支鏡画像解析においては、B-mode画像解析を中心に行っており、今後症例数を増やしての解析および他の超音波画像モード(エラストグラフィーなど)での解析を行い、リアルタイムでの転移予測結果を画面表示できるシステムの開発を進める。 ②走査分子計数法による腫瘍細胞検出系では、検出時間30分程度に高速化した検出系の開発を引き続き進め、迅速診断を補完する短時間での腫瘍検出システムの開発を目指す。また気管支鏡検体だけでなく手術中の迅速診断での利用も念頭に、様々な検体での解析を試みる。 ③STAS関連のメチル化解析では、gene ontology解析結果をもとに、候補遺伝子の絞り込みおよびvalidationを行っていく。 ④まず17リンパ節に対するマスサイトメトリー解析結果を分析し、肺癌担癌患者における所属リンパ節内でのリンパ球の特徴を明らかにすることを目的に分析を進める。
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Causes of Carryover |
研究代表者所属施設の異動のため、一時物品購入を控えたために生じたものであり、今後研究計画に沿って必要物品の購入を進める予定である。
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