2022 Fiscal Year Research-status Report
Discrimination between primary and metastatic lung tumors by genomic profile
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21K08894
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Research Institution | Yamanashi Prefectural Hospital Organization |
Principal Investigator |
後藤 太一郎 地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院(がんセンター局ゲノム解析センター), ゲノム解析センター, 研究員 (80317148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺癌 / 肺転移 / 遺伝子変異 / 次世代シーケンサー / 進化系統樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
他臓器癌(大腸癌、胃癌、乳癌、頭頚部癌、骨肉腫など)の治療歴があり、後に肺腫瘍が出現した患者で、2014年4月から2021年4月の期間に当院において肺腫瘍の摘出手術を施行した症例を対象とした。書面による同意が得られた患者を研究対象とし、本年度計42例での解析を行った。 前年度に施行したNGS解析の結果を用いて、遺伝子変異のクラスター解析を行い、他臓器癌と肺腫瘍の遺伝子変異パターンを統計学的に比較検討した。42症例において、遺伝子変異パターンの一致、不一致により、原発性肺癌(7症例)または転移性肺腫瘍(35症例)と診断可能であった。 また、Oligometastasisに対する手術治療(局所制御)の意義や長期予後への影響を検討するため、肺転移35症例につき、以下のphylogeny解析を追加した。 正常細胞から原発巣、転移巣を生じるまでのphylogeny:原発巣と転移巣の遺伝子変異解析結果を用いて、N-J法によりクラスター解析を行い、phylogenetic解析(‘ape’ and ‘phangon R’, 3.2.3 on linux)を追加した。腫瘍の進化系統樹を作成し、正常細胞から分岐まで、分岐後各成分までの遺伝子学的距離、関連遺伝子変異を推定し、腫瘍の進化過程・病勢進行の機序を検証した。また、Trunk-ratio (正常細胞から分岐までの遺伝子学的距離/全遺伝子学的距離)や付加されるmutationのpattern・個数と術後予後との相関を検証した。 以上より、clinical outcomeに影響するmutational factorsが同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画通りに研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、下記の解析を行い、Prognostic markerとしてのctDNAの意義を解明したいと考えている。
末梢血、および、手術検体の肺静脈血を採取する。原発巣・転移巣と相同のmutationが血中に認められれば、ctDNAと判定する。我々の以前の研究においては、肺癌の場合、肺静脈血中ctDNAは末梢血の約2倍のallele fraction (AF)を示し、全症例がこの濃度勾配(肺静脈血>末梢血)を示した。今回の肺転移症例(35症例)においても、ctDNAの濃度勾配(肺静脈血、末梢血)につき解析し、原発性肺癌と転移性肺腫瘍の病態の相違をctDNA体内分布の観点から解明する。さらに、これらctDNAの検出有無・AFと術後予後との相関を検討し、ctDNAのprognostic markerとしての意義を検証する。
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Causes of Carryover |
本年度は主にIn silico解析に注力し、これら解析は現状の設備で施行可能であったため、追加費用は発生しなかった。次年度は本研究計画の最終年度になるため、wet研究も再開し、癌病巣、ctDNAのNGSデータを含め、膨大な遺伝子情報の最終集計を行う予定である。
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