2023 Fiscal Year Annual Research Report
ドライバー遺伝子変異肺癌における免疫微小環境の経時的変化を利用した治療法の開発
Project/Area Number |
21K08896
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Research Institution | National Hospital Organization, Beppu Medical Center |
Principal Investigator |
岡本 龍郎 独立行政法人国立病院機構別府医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 臨床研究部長 (80568626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高森 信吉 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 呼吸器腫瘍科医師 (20839542)
田口 健一 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 病理診断科部長、臨床検査科部長、腫瘍病理学研究室長 (40325527)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / ドライバー遺伝子変異 / 高悪性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術にて完全切除が施行されたEGFR exon 19変異肺癌症例のうち、CT画像および病理の所見から早期癌(AIS~T1a:早期群)/浸潤癌(N1/2陽性:進行期群)を、それぞれ12例/26例(計38例)を選択した。凍結標本からRNAを抽出し、RNA-Seqによるトランスクリプトーム解析を行った。得られたmRNA発現解析データより、早期群と進行期群のmRNA発現量比較を行い、発現が有意に変動した遺伝子を抽出し、高悪性化に関与する候補遺伝子を探索した。両群間で統計学的有意にmRNA発現の差があった遺伝子は53遺伝子存在した。変動遺伝子のOntology解析では46遺伝子が抽出され、細胞代謝/組織発達/遺伝子発現制御/細胞周期に関連した遺伝子群に、それぞれ43%/35%/24%/13%が分類された。両群の発現差において抽出された全遺伝子の発現差は0.8~9.4倍であり、4倍以上の発現低下/上昇したものは12/13遺伝子であった。その中でCollagen XI alpha 1遺伝子(COL11A1)が進行期群において最も発現が上昇していた(9.4倍, p<0.0001)。進行期群26例において、COL11A1の発現量が≧1 TPM(Transcripts Per Million)群(n=16)の無再発生存中央値は26.8ヶ月であったのに対して、<1 TPM群(n=10)は未到達であり、COL11A1高発現群が術後再発において予後不良の傾向があった(HR 1.83, p=0.31)。以上より、EGFR変異肺癌の高悪性化には、癌関連遺伝子のダイナミックな発現変化が関与していることが示唆された。今後、COL11A1遺伝子をはじめ、研究で抽出された遺伝子の発現変化の腫瘍微小環境における意義を検討する予定である。
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